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特集

茨城県産パン用小麦「ゆめかおり」が紡ぐ物語~情熱が人を動かし、商品が生まれ、消費者に~ 後編


長らく梅雨のある関東で強力小麦を栽培するのは難しいという認識を持っていましたが、その辺りを熟知されている生産者である染野実さん(茨城県坂東市・(有)ソメノグリーンファーム代表取締役)の小麦の品質を確認し、管理体制を現地で見せていただき、安心して任せられると判断して購入するに至りました。
――装置産業と言われる製粉会社として、葛藤が生じたのでは?
真藤 国内産小麦となると、北海道産がメインで、府県産の小麦は外国産小麦に混ぜて使うことが多いです。北海道産以外の国産小麦を単体で使うという意識は弊社ではもともと少ないです。前述の集荷量以外にも、品質の安定という部分では気候の変動、たとえば台風が襲来すれば大きな影響を受けますので、非常に取り扱いづらいというイメージでした。
今野 リバティーフーズの営業担当をしていますが、鳥山社長は茨城県の農家の農産物の素晴らしさをセブン-イレブンという場を借りて発信していく方です。12年前に “茨城県産小麦でパンを作りたい”と思い立って「ユメシホウ」の話を相談されたときには、ロットや品質的な問題で協力できませんでした。今回は、営業部から工場の担当者らに協力をお願いして、19年以降の取り扱いに至りました。鳥山社長の熱い思いに応えたしか、言いようもありません!
――栽培研究会の「ゆめかおり」の品質、製パン適性は?
今野 一般的に国産小麦はうどん用として品種改良されてきたものが多く、最近は北海道産を中心に「ゆめちから」や「春よ恋」などのタンパク値の高いものが増えてきています。でも一般的には、北米産の「1CW」という規格の硬質小麦は製パン適性が高いとされています。栽培研究会のゆめかおりは、1CWに似ていたというのが一番大きなポイントで、今まで取り扱った北海道産の強力粉よりも「どんなパンにしてもしっかり膨らんで美味しく焼き上がる」という特徴的な品種でした。端的に言えば、国産小麦で、しかも関東産で、北米産の最高品質の小麦に近いものが出てきたことに、正直驚いています。
――良い小麦とは具体的には?
今野 セブン-イレブン向けにリバティーフーズで使っていただいているものに関しては、消費者目線では膨らむこと、作り手目線では水保ちがよくしっとりすることが求められていると思います。街のパン屋さんなら日々の天気等によって仕込みの温度や作業工程を調整できるのですが、大型の製パンラインでつくる場合は、伸ばしたり丸めたりしたときに扱いやすく、生地にかかるダメージによって膨らまないといったことがないように、我われ製粉会社もシビアに品質をコントロールしながら供給しています。このゆめかおりは、パンにした時のふんわり感やしっとり感も1CWと同等で、作り手目線と消費者目線を両方とも兼ね備えている「良い小麦」と認識しています。

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