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特集

茨城県産パン用小麦「ゆめかおり」が紡ぐ物語~情熱が人を動かし、商品が生まれ、消費者に~ 後編


――北米産の「1CW」はブレンド規格ですが、単一品種で同等の評価に?
真藤 外国産の小麦はいくつかの品種をブレンドして日本向けの銘柄として規格値で縛って輸入しているので、品種の数は地域やロットによっても違います。それに対して、単一の品種でこれだけ品質が安定しているということは非常に評価しています。国内産小麦は品種ごとに流通するので、これまでも品質を安定させるということが最大の課題だったので、遜色なく扱えるというわけです。
――安定した品質は、栽培研究会が出荷時にタンパク含有率を13~14%に調整しているから?
今野 そう思います。
真藤 弊社では全農からも茨城県産ゆめかおりを購入していますが、県北と県西や県南では品質にも差が出ています。品質に差があるものについては、品質が一定になるように弊社でブレンドしながら使っています。栽培研究会から届く分は、いまのところ品質のばらつきがないので、品質調整の必要がありません。
今野 リバティーフーズ向けのゆめかおりの取扱量は19年産が50t、20年産が50t、21年産が100tです。この品質が担保されているのであれば、取扱量は何倍に増えても問題ありません。ですが、農地や生産者のお仲間は一気には増えないので、取扱量も徐々にしか増やせないジレンマがあります。今回の取り組みもセブン-イレブンでの本販売は8週間で終わってしまいました。通年で供給することを将来的には考えていきたいので、時間はかかりますが楽しみにしています。
まだ実績が浅いので、栽培研究会のゆめかおり栽培が広がっていったときに、もっと言えば天候的に異常気象があれば途端に品質ががらりと変わるリスクもあるので、そこは課題になります。
――国産パン用小麦の可能性をどのように感じていますか?
今野 安全・安心なイメージが強いという部分では、今後も国産小麦を使ったパンは広がっていくと感じています。ただ、生産量がなかなか増えないことと、天候によって取れる年と取れない年の差が出たり、北海道の小麦産地で取れなくなれば品種によって販売制限をしなければならなくなったり、現場では一進一退の攻防が続いてきたというのが率直なところです。茨城県産ゆめかおりのように、今までパン用小麦が作れないと言われてきたところに産地ができれば、新たなムーブメントになります。我われ製粉会社としては、もっといろんなところに国産パン用小麦の可能性や魅力を伝えながら拡販して、生産者にも安心して作っていただける環境づくりに、少しでもお役に立てればと考えています。なかでも水田でもタンパク含有率の高い小麦が取れるようになってくれれば、ステージが変わってくると感じています。

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