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油谷 圃場の数は15年産で48圃場、その翌年が191、235、253、360、310、455と、ドンドン増えました!
伊藤 後任の方には本当に申し訳ないと思っています(笑)。
――調査項目は?
伊藤 生育調査(葉色はSPAD値)と、収穫した小麦は乾燥機ロットごとにタンパク含有率とフォーリングナンバーを測りました。最初は千葉製粉に、産地はこれだけ一生懸命に改善するので引き続き小麦を買ってくださいということを訴えたかったんですね。また、パン用小麦は茨城になかったので、生育状況と追肥のタイミング、追肥量など、どういう挙動を示したら良いパン用小麦になるのか、私自身も興味があり知っておきたいという思いもありました。
――それで栽培指標をつくられたんですか?
伊藤 非効率でも、生産者にも製粉会社にも納得してもらうためには、データに基づく栽培指標が必要でした。パン用小麦は然るべき時にきちんと追肥をすればタンパク含有率が上がり、ある程度は均質化されると。でも現実的には、大規模農家だと水稲などのほかの作物の作業と重なったり、天気に左右されたりして、適期に追肥が終わらない。そこは生産者と話し合う必要がありました。さらに、生産技術を高めるために、その当時5名で「茨城パン小麦栽培研究会」(以下、栽培研究会)を立ち上げました。千葉製粉との契約は個々の農家で行なっていましたが、実質的には普及センターが窓口になって、契約書づくりからサポートしていました。
――栽培研究会への参加基準はどうされていたんですか?
伊藤 管理作業を含む麦作の基本的な管理体系をきちんとやっていたり、色彩選別機など良いものを作ろうという設備投資をされていたり、あとは人柄ですね。人は嘘をつくけれど、作物は嘘をつかないと言いますが、きちんと管理された麦は生育量もとれていますし、人に見ていただきたい麦畑が散見されます。生産者が違えば、ばらつきは出てしまいますが、それでもこの人たちなら間違いなく良いものを作ってくれるという確信がありました。行政主導でやるとうまくいかないことも多いので、普及センターがあまり出しゃばらずに、染野さんがリーダーシップをとって、生産者の意思でゆめかおりの生産に取り組む方向に行ったのが、いまでも続けられている理由だと思います。
――どのような状況で後任者にバトンタッチされましたか?
伊藤 「パンを作ろう!」という話から組織ができて、千葉製粉との契約なりパン屋さんとの広がりも少し見え始めて、あとはいかに品質を落とさずに規模を拡大して“関東のパン用小麦”としての認知を高めていくか。生産量1000tという目標をぶち上げて、私は無責任に油谷さんにバトンタッチしました(笑)。
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