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土門「辛」聞

財政圧迫リスク解消に向けて税金・補助金の見直しが始まったる



水活交付金の支給厳格化“おめこぼし”がなくなる

農水省予算で膨張が目立つのは、水田活用直接交付金、略して水活交付金と呼ぶ転作奨励金だ。この名称での転作奨励金は、22年度予算でちょうど10年目を迎える。その膨張ぶりは左の表で確認できる。
10年間で32%も増えた。米の消費が減り、その分、転作強化が続いたからだ。これは致し方ないとしても、転作奨励金なのに水田での麦や大豆などの畑作作物の作付けが定着、つまり本作になっても転作奨励金をもらい続けるケースがある。これは交付ルールに背くもので、いわば“おめこぼし”だ。
この“おめこぼし”に、農水省は見直しに動いた。12月9日付け北海道新聞夕刊が、「農水省、コメ転作交付金を厳格化来年度から、生産5年間ゼロ対象外」と伝えている。
「コメを今後5年間作らない農地について、新たな作物の生産が定着したと判断し、交付金の対象から外す。ただ、多くの農家がこの交付金を経営の支えにしてきたのに加え、一度転作した農家が水田を復活させるのは難しいとされ、道内の生産農家に戸惑いが広がっている」
水活交付金は、経営所得安定対策等実施要綱などに交付ルールが定められている。交付対象外となるのは「畑地化し水田機能を喪失する等水稲の作付けを行うことが困難な農地」で、具体的には畦畔や用水設備を備えていない農地である。つまり畑作が本作となった水田は、水活交付金の対象にしないことにしているのだ。本作になった場合は、畑作交付金がある。
なぜ北海道新聞が取り上げたか。農水省が問題視した水活交付金の使われ方が北海道に集中しているからだ。北海道で使われる水活交付金は、21年度の当初予算3050億円の17・5%に相当する536億円。水稲作付け面積ベースでの北海道のシェアは、6・8%。“おめこぼし”水田は、道内でも一部地域に集中する。
その水田で麦や大豆などの畑作作物を作付けすれば、畑作交付金と水活交付金のゲタがダブルで使える。麦や大豆なら両者合わせて10a7万円前後。道内でも畑作地帯の十勝地方では、畑作交付金のゲタのみ。一方“おめこぼし”水田での転作は、畑作交付金ゲタと同額の水活交付金がつくのだ。
JA北海道中央会の反応が興味深い。12月8日、北海道農協米対策本部委員会で組織討議した結果、JA組合長宛てに「緊急 北海道農協米対策本部委員会の概要」文書を発出した。
「JAグループ北海道として、農水省、自民党の早急な決定プロセスに十分に対応しきれなかったことを反省。見直し案は受け入れがたい内容ではあるものの、一般的な目線から、水田機能を失った水田に対し、水田を活用するための税金が投入されることに、理解を得ることは難しいと想定される」

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