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新・農業経営者ルポ

オンリーワンの“男気トマト”で目指す個人経営だからできること


「勝負する相手が多い方が燃えるタイプです。生産者がたくさんいる中で、僕にしか作れないトマトを作って勝負したい。やっぱり勝負して勝ちたいんです。男なんで」
トマトを主力作物に選んだとはいえ、父は栽培経験がない。手島は研修などには一切行かず、独学で栽培法を学んだ。専門書を10冊くらい購入し、農作業が終わった後に徹底的に読み込んだという。トマトの味は品種が半分、残りの半分は生産者の栽培技術で決まるといわれているため、自分だけの栽培法を確立したい一心だった。
そこでたどり着いたのが、ストレスをかけて甘みのあるトマトを作り上げる無かん水栽培だった。水やりは基本的に育苗期のみ。育苗専用ハウスで少量を与えるだけだ。その量は毎日1株に約40ミリリットル、おちょこ約1杯分。夕方苗がしおれるくらいの量だという。1カ月間、約4000株の苗、1株1株に40ミリリットルの水を毎朝与え、乾湿を繰り返しながら育苗し、根を乾燥に強くする。育苗した苗は、有機肥料を施したハウスに定植した後、基本的に水やりを一切せずに管理する。それが手島の無かん水栽培だ。

灰色かび病で泣く泣く処分した経験が自分への戒めに

就農翌年の2012年からトマト栽培を始め、翌年に自身で確立した無かん水栽培を4連棟のハウスの1畝で試してみたところ、イメージ通りのトマトが収穫できた。そこで2014年に一気に20畝ある4連棟のハウス全体で無かん水栽培を始めた。
そしてそれを「男気トマト」としてオンラインショップや地元のスーパーで本格的に売り出した。その後、4連棟2棟、併せて20aのハウスに拡大し、現在に至っている。
こう書くと順調に見えるトマト栽培だが、独学で学びながら手探りで始めた当初、手島は今も忘れられない大失敗をしてしまった。
それは初めてトマト栽培を手がけた年のこと。定植する際の水分量がまだつかめなかったところに、ビニールハウスの張り替えのタイミングが重なった。雨の多い年だったため、ビニールを外した際に、ハウスの土が水分をたっぷりと含んでしまったのだ。そのことがどれだけリスクがあるかには気づかず、ビニールを張り、土を充分に乾かさないまま定植した。すると、トマトが暴れてしまったのだ。そもそもトマトは定植後の初期樹勢を抑えなければならないのに、まだそこを理解できていなかった。
「トマトは一番花を着けたタイミングで植えるのがベストですが、花がまだ着いていない若苗の状態で植えてしまいました。それで株が必要以上に水分を吸い上げてしまったんです。葉は生い茂り、幹も太くなったことで、光が当たらず風通しが悪くなってしまい、灰色かび病が発生してしまいました。結果、かなりの量を捨てなくてはなりませんでした。収穫できた分ですらお客さんから『このトマトは大味だね』と言われてしまいました。本当に悔しくて、今でも忘れられません」

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