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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
エクアドル THC濃度1%基準を採用した国
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第51回 2022年02月28日
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日本の本州と九州を合わせた広さに約1700万人が暮らし、白人と先住民の混血(メスティーソ)が国民の8割弱を占め、公用語はスペイン語だ。石油(鉱工業)、バナナ・カカオ・コーヒー(農業)、エビ(水産業)が主な輸出産品となっている。
ヘンプの歴史は、ほかの南米諸国と同じく16世紀のスペイン征服時代に始まった。植民地各地との海洋交通を支える帆船の帆布やロープに使うヘンプ繊維の需要が高く、スペイン王室は植民地でのヘンプ栽培を熱心に推進した。ただし、17~20世紀前半に同国で行なわれたヘンプ栽培の実態は文献がなく、詳しくはわかっていない。
1830年にスペインから独立した当時はヘンプ栽培をとくに規制していなかった。だが、米国発の薬物禁止キャンペーンを受けて、1990年に制定された麻薬法により厳罰的な政策が推進されることになった。
しかし、薬物事犯者による刑務所の囚人過剰収容が問題となり、とくに女性刑務所では囚人の7~8割を薬物事犯が占めた。この事態を解決する契機になったのは、2006年のラファエル・コレア大統領の就任である。法務・人権省(MJHR)の設立と司法改革によって、囚人の問題は適正化されていった。08年の国民投票によって可決されたエクアドル新憲法には、健康に関する項目の第364条にこう明記されている。
「依存症は公衆衛生上の問題である。アルコール、タバコ、向精神薬の情報、予防、管理プログラムを開発することは国の責任であり、問題のある薬物使用者に治療とリハビリを提供することも重要である。いかなる状況においても、彼らを犯罪者にしたり、憲法上の権利を侵害したりしてはならない」
厳罰的な薬物規制から健康・福祉政策へ
ヘンプの歴史は、ほかの南米諸国と同じく16世紀のスペイン征服時代に始まった。植民地各地との海洋交通を支える帆船の帆布やロープに使うヘンプ繊維の需要が高く、スペイン王室は植民地でのヘンプ栽培を熱心に推進した。ただし、17~20世紀前半に同国で行なわれたヘンプ栽培の実態は文献がなく、詳しくはわかっていない。
1830年にスペインから独立した当時はヘンプ栽培をとくに規制していなかった。だが、米国発の薬物禁止キャンペーンを受けて、1990年に制定された麻薬法により厳罰的な政策が推進されることになった。
しかし、薬物事犯者による刑務所の囚人過剰収容が問題となり、とくに女性刑務所では囚人の7~8割を薬物事犯が占めた。この事態を解決する契機になったのは、2006年のラファエル・コレア大統領の就任である。法務・人権省(MJHR)の設立と司法改革によって、囚人の問題は適正化されていった。08年の国民投票によって可決されたエクアドル新憲法には、健康に関する項目の第364条にこう明記されている。
「依存症は公衆衛生上の問題である。アルコール、タバコ、向精神薬の情報、予防、管理プログラムを開発することは国の責任であり、問題のある薬物使用者に治療とリハビリを提供することも重要である。いかなる状況においても、彼らを犯罪者にしたり、憲法上の権利を侵害したりしてはならない」
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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