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コメ記者熊野のコメ市場情報

現物市場ができたとしても農協と商系は土俵が異なる

コメ現物市場―農水省が制度設計の素案

1月25日、22年産米の政府備蓄米買入入札が実施された。例年1月に実施されるこの入札は、その年に生産されるコメの価格がどうなるのか知る上でも大きな関心を集める。22年産の落札結果については後述するとして、同じ日に農水省はコメの現物市場検討会を開催して制度設計の素案を示した。
素案には、狙いとして(1)多様な取引需要をマッチングし、納得感ある取引実現、(2)取引量・価格情報を生産者への需給シグナルとして伝達し、機能としては、配送の手配、決済(代金回収)、事故・クレーム処理などと記している。
これだけ読むと新たなコメの現物市場ができるのかと思われるかも知れないが、実態としては何も決まっていない。分かりやすく言うと「こんなコメの現物市場があったら良いよね」と素案の形で示したに過ぎない。
そう言ってしまうと主催した農水省や議論を重ねた検討委員会のメンバーにとっては身もふたもないが、取引の種類について通年取引と事前契約期プラス出来秋に行なう2種類があることを示している。果たしてそのような市場ができるのか? これも全くの白紙である。
ただ、現物市場(マッチングの場)の通年取引の例として「定期取引(年7回程度プラス随時取引)」という記述がある。すでにこうした取引を行なっているところがある。それはコメ卸団体全国米穀販売事業共済協同組合(以下全米販)の100%子会社(株)クリスタルライスである。

クリスタルライス 定期的にFAX取引会開催

(株)クリスタルライス(東京都中央区 小野茂社長)は昨年4月1日付で日本コメ市場が保有する権利義務を全て承継する形で、全米販傘下のコメ卸が定期的な取引会を行なう際の主体者となった。どのような取引会を行なっているのか知ることは現物市場制度設計の参考になると思われるので紹介したい。
同社は年7~8回東京、大阪、福岡を会場に定期的に取引会を行なっている。コロナ禍で会場に参集できなくなったので、現在はFAX取引会に移行している。参加者は全米販の傘下卸が主体だが、売買基本契約を結べば全米販傘下の卸以外でも取引に参加できる。現在、売買基本契約を結んでいるところは約160社になるが、その中には農協も入っている。

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