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アスパラガス/季節野菜が周年需要化し、国産が輸入品のシェアを奪う
【概況】東京市場におけるアスパラガスの入荷状況この20年で、数量は3割減った一方で単価は38%高くなった。大きく変化したのは、02年では18%でトップシェアがあったオーストラリア産が、21年には4%に大幅減(1258t→170t)になり、10%あった米国産が1t以下になる一方、佐賀、長崎など九州産のシェアが22%から33%に増えたことだ。入荷量のうち輸入物は38%から30%に減ったため、国産が輸入品を“駆逐した”ことになる。
【背景】 たしかに、佐賀、長崎から始まった春から夏秋まで収穫する長期どり(立茎、3季どり)栽培が九州内で広がりを見せることで、4月を中心とした米国産、秋から年内あるオーストラリア産の輸入そのものが減ったことは事実である。ただし、4~5月期で40~54%入荷減、10~12月期で51~59%減という現象が、20年間で3割もの入荷減と4割近い単価高を誘導した。これを消費者目線で見ると「販売量が減って高くなった」。これで“輸入を代替した”のだろうか。
【今後の対応】昭和の末くらいまで、アスパラは5~6月に長野、北海道などから出てくる典型的な季節野菜だった。しかも一般的な野菜とは認知されず、嫌いな人も多かった。平成に入ると、年明けからメキシコ産、カリフォルニア産が国産の前哨戦を務め、国産の後はオーストラリア産が秋から年末まで、早出しのメキシコ産につなぎ周年化した。日本人のアスパラの食習慣は輸入品により形成され、この間、輸入の緑黄色野菜が日本人の健康を保持してくれたのだ。
ブロッコリー/輸入が激減して国産化進み70%もの入荷増に
【概況】東京市場この20年で入荷数量1.7倍、単価も3割高くなった。非常に特異な動きを示しており、年間どの月も増えているが、2月の3倍などかなり増加した月もある。このブロッコリーも国産と輸入品が補完しながら供給周年化しているのが特徴。輸入量については、02年では8万4000tと過去最高。東京市場の入荷量は02年は約2万t、シェア1位の米国は3割超6000tあった。これが21年には1割以下の7000tにまで減った。
【背景】昨年21年では、東京市場の米国産のシェアはわずか2%の泡沫産地である。輸入品が激減したものの、東京市場の入荷量はかなり増え、しかも単価も上げている。この特異な現象は、輸入品が国産に置き換わり、生産量も増え消費も安定的に伸びていることを意味する。アスパラとよく似た特徴だが、さらに劇的なのはこれが計画的に実施されたこと。輸入でもシェアが高かったドールはこの20年間で、産地をカリフォルニアから北海道などに“移設”したのだ。
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