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特集

これからの水田転作を考えよう


――現場にとっての5年と政策的な5年にギャップがあるように感じます。北海道の勝部征矢さんが掲げていた「駄農征伐」の話はすごく重要で、将来的に誰が穀物を作るのか。農家数ではなく、農業経営者の数で議論していかなければ、意味がないですよ。交付金で技術投資をしている人たちと、国に認められて交付金をもらっているという感覚に陥っている人たちがいるなかで、誰を応援していくのかという視点も必要ではないでしょうか。
木村 需要があるものを作ろうとしている優秀な農家が出てきていますから、そういう方々が今回の見直しで影響を受けるようなことがあれば、いままでの積み重ねが無駄になってしまうので、そこは水田政策以外の施策も併せてトータルで考えていく姿勢を我われとしても持っていたいと思います。
――水田活用の交付金の枠だけで水田経営全体を解決するのは無理だと思いますよ。大変失礼な言い方になりますが、農水省内で問題意識をトータルで考えているようには映っていません。

【健全な交付金のあり方とは】

木村 土地利用型の品目はとくに交付金なしでは誰も麦も大豆も作りません。一方では国産で一定程度賄うべきだという国民からの要請もあるので、それに応えるためには交付金は必要です。
――それこそ飼料用米の市場は限界に達しているのでは?
木村 飼料用米は2030年に70万tに増産する基本計画の目標に近づきつつあるのですが、飼料メーカーのニーズはその倍近くあります。
――それは安く買えるからという話ですよね。一時期、試験研究機関が飼料用米の価値を持ち上げていましたが、餌にしてまで日本の政策産物としての米を維持するというのが果たして日本農業の将来のために良いのか。主食用米の値段を上げるために畑地化をしているわけではなく、農業が社会のために安定的に成長するためにバランスが変わっていくのが自然で、米が神棚に上がり続けているということですよね。
木村 交付金のおかげで安く買えるという点は否定できないですね。ただ、我われも財務省からの指摘を踏まえて場当たり的に見直しているのではなく、水田政策の将来を考えて政策を作っています。
――水田は、世界に誇れる素晴らしい生産設備だと思うんですよ。全国的に維持し続けて来られたのは日本が先進国だからでしょう。ほかの国々では、水を持ってきてもその分捕り合戦になっていますから。水田転作が府県でも伸びないのは交付金に煽られて、コメ以外の作物に真面目に取り組まなくても困らないからですよ。

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