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【土門「辛」聞】
続報 事態切迫!原料は間に合うのか 北海道が春肥不足に陥る可能性
- 土門剛
- 第210回 2022年04月04日
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今月号も北海道・春肥問題に全力投球する。問題を整理しておこう。ポイントは3点ある。(1)春肥の供給量について、モロッコからの緊急輸入分が間に合うのか。(2)農家への配達が農作業のタイミングまでに届けられるのか。(3)供給した肥料の品質問題。代替品や成分などのことである。これらを統計資料などで検証してみよう。
農水省内の楽観論から始めてみる。1月下旬頃、省幹部にホクレンの春肥原料の手当て状況について質問してみた。その返答は次の通り。
「原料は前もって手当てが進んでいたので心配はしていない。統計もそのような結果が出ている。すでに春肥の7割は昨年内に農家へ配送されている」
実態とは逆の説明に驚いた。そこで2月中旬、農水省としての見解を質すべく、本問題の司令塔、農産局・安岡澄人審議官により詳しい説明を求めてみた。
「国全体でみてリン安などの春肥の原料については、例年に近い供給量は確保できるとみています。安心はしていませんが、ホクレンもしっかり供給していただけると考えています」
残念ながら、安岡審議官の説明は、統計など具体的根拠にもとづいたものではなく、期待願望を述べたものとしか思えない。逐条的に検証してみよう。
省幹部の説明で引っかかったのは、「原料は前もって手当てが進んでいた」という部分。マーケットの事実認識とは大きく違うし、貿易統計を確認すれば、そのような認識には至らないはずだ。安岡審議官に、単刀直入に質問した。
農水省の楽観論は根拠のない願望
農水省内の楽観論から始めてみる。1月下旬頃、省幹部にホクレンの春肥原料の手当て状況について質問してみた。その返答は次の通り。
「原料は前もって手当てが進んでいたので心配はしていない。統計もそのような結果が出ている。すでに春肥の7割は昨年内に農家へ配送されている」
実態とは逆の説明に驚いた。そこで2月中旬、農水省としての見解を質すべく、本問題の司令塔、農産局・安岡澄人審議官により詳しい説明を求めてみた。
「国全体でみてリン安などの春肥の原料については、例年に近い供給量は確保できるとみています。安心はしていませんが、ホクレンもしっかり供給していただけると考えています」
残念ながら、安岡審議官の説明は、統計など具体的根拠にもとづいたものではなく、期待願望を述べたものとしか思えない。逐条的に検証してみよう。
省幹部の説明で引っかかったのは、「原料は前もって手当てが進んでいた」という部分。マーケットの事実認識とは大きく違うし、貿易統計を確認すれば、そのような認識には至らないはずだ。安岡審議官に、単刀直入に質問した。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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