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土門「辛」聞

続報 事態切迫!原料は間に合うのか 北海道が春肥不足に陥る可能性


「その認識は、ホクレンなどへのヒヤリングだけで得たものか、あるいは原料確保について裏付け資料を確認した結果のものか」
当然、裏付け資料を示してくると予想していたら、「ホクレンとは適宜情報交換をしています」という回答が戻ってきた。これには正直、驚いた。手元の政府統計を調べるだけでも事態を正確に把握できるはずだ。
肥料取締法は、原料の輸入について帳簿に記載、帳簿の備え付けを義務づけ、帳簿の検査、関係者への質問を認めている。国内最大の食料基地で、春肥が不足という異常事態に直面する懸念が生じていたわけだから、同法に沿って事実の確認は可能だった。安岡審議官は、「適宜情報交換」と説明するが、その後の状況から判断すると、ホクレンの期待願望のような説明を鵜呑みにしていただけで、事態を正確に把握しようという態度ではなかったようだ。
春肥向け原料の手当てでホクレンが遅れをとったことは、全国複合肥料工業会(全複工)の統計から十分に推測できる。肥料界には、全農やホクレン向け系統メーカーと、商人系と呼ぶ商系メーカーがある。
肥料の価格高騰が取り沙汰され始めた昨年5月の生産実績をご覧いただきたい(表1)。価格高騰に対する危機意識がとてもシャープに出ている。原料手当てで系統が商系に遅れをとっていたという図式が読み取れる。
とりあえず数量差をみていただきたい。商系メーカーの健闘が目立つ。安岡審議官によると、末端販売シェアは「全国推計で系統の割合が7~8割程度」だ。それを考慮すると、商系メーカーの方が、その時点で原料は先高と踏んで増産していたと理解できるからだ。商系肥料メーカー関係者は、次のように補足してくれた。
「元売商社や問屋も、肥料の先高を読んで不需要期にもかかわらず生産出荷を急がせて備えました」
ホクレンに、その気構えがあったか。その判断につながるとても重要な資料がある。商系メーカーが肥料の先高に備えていた頃、道内農協向けに配布した5月31日付け「令和3肥料年度 肥料価格について」と題した文書だ。
「令和3肥料年度の輸入原料価格については、直近の為替状況を反映するとともに、尿素やリン安、加里等主要輸入原料の今後の値下がり要因を最大限反映し設定しました」
驚くべきことはホクレンが、その時点でマーケットの見方とは逆に肥料価格を先安と読んでいたことだ。そのタイミングで、そのような内容の文書を農協に配布する組織が、「前もって手当て」を進めていたと思えるだろうか。聞くも愚かなことだ。安岡審議官が、その文書の内容について省幹部に説明していたのか。本人から聞きそびれてしまった。

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