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土門「辛」聞

続報 事態切迫!原料は間に合うのか 北海道が春肥不足に陥る可能性


前月号でも指摘したように、モロッコからの緊急輸入は、3隻の船で運び、第1・2船は、住友商事との共積みだ。3隻トータルの船腹量は10.7万t。全農分を差し引くと、住商分は2万t程度。計算は合う。第3船には、全農調達のリン鉱石も混載という情報もあったが、確認はとれなかった。
モロッコに次ぐ大口は、三菱商事のヨルダンだ。ここはマックスで船2隻分4万t程度の調達量だが、春肥に間に合うかどうか。間に合っても2万t程度で、北海道の不足分に充てられるかどうかは不明。韓国、米国、中国などはいずれも小口。すべて引っくるめても1万t台。
結局、不足分15.1万tのうち、確定はモロッコからの10万tに、ほぼ中国からの4.2万tだが、ここで重要なのは、そのすべてが春肥向け原料に回るかどうか不明なこと。先高を見越した商系分の在庫となる可能性が大きい。

原料調達は雪解けに間に合うか

次なる問題は供給のタイミング。北海道での春肥製造の命運を握るのは、モロッコからの緊急輸入にかかっている。前月号でもお伝えしたように、モロッコでリン安の積み出し港だったジョルフ・ラスファー港を日本時間で1月に相次いで出港した3隻の船が、すべてスケジュール通りに道内の港に着き、道内の工場へ運ばれて製造され、道内の農家が春肥を撒くタイミングまでに配達されるかという問題である。
結論は、タイトロープ。すべて綱渡りということだ。あらためて3隻の船の動きを整理しておいた(表3)。
第1船QUEEN ISLAND号は、船舶位置情報によると、1月1日に現地を出港して、2月7日に広島・江田島港にある全農グリーンリソースの専用バースに着岸した。その後、福岡・小倉港、茨城・鹿島港、岩手・宮古港に途中寄港しながら、北海道・釧路港に着くのが3月4日早朝。まさに原料運搬の巡航船のようだ。
釧路港では、入港してからバースに着岸するのに、予定では4日もかかる。輸入商品なので、税関による積荷の検査などがあるのだろうか。それから荷揚げ作業にかかる。前月号では、ホクレン分などで5000t程度と書いておいた。1日1000t程度の処理能力なら5日間。倍の処理能力なら2日から3日間ですむ。思いのほか荷揚げに時間がかかることが想定される。
北海道・春肥問題の命運を握るのは、第2船KING ISLAND号だ。本稿執筆時点(3月1日)の船舶位置情報によると、当初、小倉港に着く予定だったのが、韓国・光陽港沖合に停泊、その翌日には門司港着に変更となり、最終的に小倉港となった。小倉港で積荷の一部を下ろし、そのまま北海道に向かうのか、現時点で情報は何もない。

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