ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

コロナ、ウクライナ動乱が日本農業にもたらすもの


重油高、肥料高、飼料高、資材高が重く農業にのしかかってきている。農業は、天候に直接左右される。異常気象も局地的に起こったりしている。周年作物を作るために温室を建築し、暖房をしていたが、その重油代に見合う作物は限られている。輸送コストも高くなり、先進的と言われていた「暖房と輸送」に頼る農業がピンチに突入し、その先が見通せない。「我慢くらべ」の状況での農業経営をせざるを得ず、チキンハートでは農業はできない。
コロナ禍によって、葬式が密になるからと、家族葬・親戚葬となり、花の基幹産業だった菊が打撃を受けた。菊で飾られた葬式が減ったからである。種苗代がかかり、燃料代もかかる蘭の生産者が、借金を抱えて自殺するという事件も起こった。
一方で、海外からの花の輸入が、輸送手段が激減したことから、コストアップになり、結果として国内生産が有利になるという状況も生まれた。農業は、さながら「塞翁が馬」の状態だ。
地産地消が叫ばれたことから、学校給食に向けて取り組んでいた農家の中に、新型コロナ感染が広がりはじめた2020年2月27日の安倍元首相による突然の「全校一律休校宣言」で、供給先を失った方もおり、畑で作物を廃棄せざるを得ない状況にも追い込まれた。その後もイベントやお祭りの中止や、飲食店の時間制限により、野菜が行き場を失って安値で取引された。外食産業の臨時休業などによって、コメの消費が落ち込み、備蓄米が増加して、米価が1万円/60kgを割る状態となった。
そして今、ウクライナ禍で小麦が高騰して、パン、麺類の値上がりが始まっている。子実トウモロコシの作付けがテレビで話題になるなど、自給率が低いなどと繰り返し言われてきたが、実感となって消費者の財布を直撃する。
そうか。「貧乏人はコメを食え」という時代に入ったのだ。コメ余りで、安くなっているのに、コメは買えてもパンが買えない生活困窮者たちがいるという矛盾社会が露呈している。
では、どうする?
コロナ禍、ウクライナ禍によって、国産回帰、家庭内食需要、巣ごもりになっても、人間は食べていかざるを得ない。運動不足を感じて、より食べることに対して健康を求めるようになっている。身体にいいという糖質フリー食品、機能性が強化される食品が広がっていく。また、ささやかな「ウップンばらし」ができるような食べ物が流行る。味が濃く、油さえもたっぷりな商品が、たまの「おひとりさま祭り」には必要だ。

関連記事

powered by weblio