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特集

コロナ、ウクライナ動乱が日本農業にもたらすもの


複雑な時代になればなるほど、顧客の新しい消費ニーズに対応した農業が求められている。農業に、経営という要素を加え、それにチャレンジする農家こそが、生き残る。
この『農業経営者』には、考え抜かれた知恵がいっぱい詰まっている。それを活用することが必要だ。子実トウモロコシや乾田直播技術など、時代に先駆けて提唱してきたことからもわかるだろう。
こころざしやビジョンを持って、作るもののコンセプトを考えて、ニッチを狙う。農業は、総合的な科学的知識がいる。気象学、地球温暖化、異常気象、天変地異、そして、人間の行動経済学、マーケティング、栄養学、生活習慣病に対応する農作物や機能性などの幅広い知識がいる。市場の価格がどうかだけの情報では、農業はやれなくなってきている。農地があるから農業をしているという趣味的な営みもあるが、他業種以上にビジネスになりにくいのが農業だ。多くの有名な企業が参入して、撤退していった歴史がある。IT企業が今は農業に参入しているが、農業のことがわからず、AIやドローンを言っているが、ほとんどうまくいかないだろう。
新規参入者が、有機農業をしたいと夢を持って始めると、農業はこんなに大変だったのかと言って脱落する若い人たちも多くいる。しかし、そう簡単ではないからこそ農業はおもしろい。
そんな中、変化する時代と個人ニーズの多様化に合わせ、多品目少量生産に切り替えた農家や、自分で販売ルートを開発している農家が好調だ。
消費者は何を求め、何が欲しいのかという観点で農業を見つめ直す時期に来ている。農業が生き残るため、農業自体をエンターテイメント事業として提案するのもいいだろう。人は物語やエンタメを求めている。育てる植物との共感こそがエンターテイメントとなる。
自分の商品を自分で売る。そのことで、顧客が欲しいものを見つける。いいものを作るというのは、日本の農家の自慢だった。問題は、そのいいものを見つけられる仕組みと物語がなかったことである。
SNSで、「オーダーキャンセルでたくさん余っているから、買ってぇ」という叫びに応えてくれる人たちもいる。だったら、「田舎で、農業体験しませんか」という呼びかけもあっていい。都市人口が人口の半分を超え、ふるさとのない若い世代が増えている。田舎といえば、貧しくて、田んぼで農薬撒いて、ボットン便所という、テレビで作られたイメージと農業があるが、実際の農村では、おじい、お婆が元気だ。今政府は75歳まで働けば、年金お得と宣伝をしているが、農業では75歳は現役だ。シルバー農業はこれからもっと工夫がいる。

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