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特集

コロナ、ウクライナ動乱が日本農業にもたらすもの


いずれにしても、ロシアによるウクライナ侵攻「プーチンの戦争」は長期化する可能性が高いと考えられます。
こうした状況を前提に、本稿では、
この戦争の日本農業界への影響について考えてみたいと思います。

【2│ロシアに対する禁輸措置の影響】

まず、ロシアに対する経済制裁の一環として行われる禁輸措置の影響について概観してみましょう。
ロシア・日本間の2020年の輸出入概況については図1、図2に示す通りです。輸出に関しては、ぜいたく品の輸出が4月から禁じられる予定です。これにより打撃を受けるのは、高級自動車が禁輸措置対象となる自動車産業界です(PC等の電気製品は対象外となる見込みです)。輸入に関しては、天然ガス、石油、石炭といったエネルギー資源が対象となりますが、さけ等の水産物については水産加工業など地方経済への影響を勘案して禁輸対象から外される見込みです。
こうした状況から、日本農業への影響として懸念されるのは、すでに高騰し続けている原油価格が、さらに高騰、長期化する恐れがあることでしょう。ロシアからの輸入総額の日本の輸入総額に占める割合は7.8%、石油は同5.1%(いずれも2020年)と少なく、直接的な影響は少ないと考えられます。しかし、世界の天然ガス輸出量の21%、同石炭輸出量の17%、同石油輸出量の13%をロシアが占めており(図3、図4を参照)、国際市場への影響は決して小さくありません。特に、ロシアへの資源エネルギー依存度の高い欧州各国が天然ガス等の輸入先を変えることから国際的な需給バランスへの影響は大きいものとなります。米国が原油価格高騰を抑えるための備蓄石油の追加放出を決め、欧米各国の協調放出を進めています。しかし、主要産油国であるイラクの政治的・経済的混乱などもあり、OPECの現時点での対応を見ても、主要産出国が一斉に増産に向けて動き出すことは期待できず、備蓄石油の放出効果がいつまで続くか不安は残ります。
このため、エネルギー価格の高止まり傾向は、当分の間、避けられないものと思われます(図5、図6を参照)。現時点での2019年同月比価格は、原油で34.5%の上昇、天然ガスで26.5%の上昇となっています。
日本農業への影響については、施設栽培における燃料代、電気代等の光熱費、農業用機器の燃料費、生産物の輸送費等のコスト増加につながることは明らかです。経営に与える影響は決して少なくないものと考えます。

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