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特集

コロナ、ウクライナ動乱が日本農業にもたらすもの


人口3800万人というのは、現在のアフガニスタンの人口です。6500万人はフランスと同じ規模です。これまでの日本は、たまたま国内市場が大きかったために、ぬくぬくと独自の進化をすることが許されてきました。しかし、同規模の他国を参照すれば明らかなように、大国の座を転げ落ちた中規模国家が、単体で世界中から物資を買い漁ることは難しくなります。
この春、世界を襲っている食料とエネルギーの高騰は、確かにウクライナ動乱が引き金になってはいます。しかし、戦争が起きなければ安泰ということではなく、社会のインフラを他に大きく依存していることの構造的な弱さが、改めて露呈したと解釈すべき事象です。私たちが、「所与の条件」だと思っている経済活動の礎の脆弱性が一度に顕(あらわ)になったことは、物事を根本から考え直す契機と言えるでしょう。
日本は大国の縮小という世界的な課題の先陣を切っています。急激に縮む世界での農業・食料のあり方
は、ひるまずに知恵を絞るに値する重要な命題です。農業者は、食料調達という社会の重要な役割を引き受ける存在です。これからの農業者は、目先の損得に目を奪われるのではなく、中長期的な視野に立った本質的な議論をする存在になっていくべきだと改めて思います。

VUCA時代の農業を考える/あさひや農場 代表 関谷航太

現在の「変化が激しく不確実、複雑で曖昧な時代」を「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」の英語頭文字を取って「VUCA時代」と呼ぶ。もっともらしいことを喋っとけばよいようなプレゼンや朝礼の訓示で使えそうなVUCA(ぶーか)という横文字を元に農業のVUCA対策を考えてみたい。
「激動の時代だ!」と言いたいところだが、日本も日本の農業も激動したのは戦後昭和の時代の話で、農家人口にしろ、物価にしろ、機械の普及速度にしろ、いま上がった下がったと話題にしていることは半世紀前にもっと激しく変化していた。
いま問題なのは、変わることではなく、変わっていないこと。世界が変わっていく中、日本だけが過去の成功体験に浸って成長しなかったことは、今の私たちの生活や仕事に確実な影響を与えている。農業でも同じで、変わることができなかった業態ほど、今の時代は苦しいのではないだろうか?
「変動」のわかりやすいところは、その中にいて変化が実感できるということである。
農業人口も米価も昨日今日でいきなり変わったわけではない。物流や売り方の変化も然りだ。かつてなら農協を通して市場出荷が当たり前だったものが、宅配便で送ったり、個人農家でトラック便を仕立てることができるようになった。しかし、それも今に始まったことではない。変化が騒がれるのはだいたい変わらなかった人が変化に耐えられなくなったときであり、変化の流れに乗っている人にはそれは追い風にもなったりする。

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