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土門「辛」聞

偽旗の肥料行政―食料安全保障に逆行する砂漠のダチョウ


21肥料年度全体ベースでは、3月通関の約5~6万tを見込んでも、50万t弱とされる「例年に近い供給」量になるかどうは流動的だ。

“偽旗”通用せぬギブアップ宣言

北海道の農業現場では、その“偽旗”は通用しなかった。ホクレンから肥料不足を伝える文書が次々と明るみに出てきたからだ。いずれも深刻な事態を伝える内容。農水省のプロパガンダ行政を内部告発しているようでもある。
1月17日付けで道内JAに発出した「令和3肥1月以降の出荷対応について【第2報】」は、原料不足から一部代替品の供給に振り替えることを通告した文書だ。
続いて2月中旬に道内JAに対し「令和4年度肥料出荷対応について」なる通知文書を出している。この文書こそ、原料不足から多くの製品で供給責任を果たせぬことを認めた事実上の“敗北宣言”である。
前者は、まだ原料確保に含みがあった時点で発出されたものなので、さほど切迫感は伝わってこない。ホクレンは代替品で何とか対応できると考えていたようである。後者はとても深刻だ。そのタイミングから、モロッコ産リン安の輸入が思ったようにいかず、「供給不可銘柄」と「供給支障銘柄」という表現で厳しい在庫状況を伝えている。
リン安は、「供給支障銘柄」として、大規模農家が使うフレコン500kg袋は、在庫状況を伝える欄に「×」がついている。さらに、安岡審議官が説明する「例年に近い供給」が事実とは違い、単なる希望的楽観論にすぎないことを証明した決定的文書でもある。
その楽観論が、北海道で音を立てて崩れるのは、ホクレンの春肥在庫が払底する5月になってからだろう。順繰り出荷して牧草とデントコーンの作付け期に在庫が切れてしまうというシナリオだ。ホクレンは、成分を落としたり代替品の供給で対応しても、その代替品もやがて底をつく事態に陥る。
北海道で農家が騒ぎ出すのは、そのときだ。同時に安岡審議官から事実とはかけ離れた説明を受けていた国会議員も、騒ぎ出すに違いない。そのとき、根拠のない「楽観論」は音を立てて崩れるのだ。砂漠のダチョウ、偽旗、プロパガンダ、こんな姑息な手段は、政府が国民に食料安全保障を呼びかけるときに絶対に使ってはいけないことだ。

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