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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

米国(5) ヘンプ解禁後に5900件もの意見を反映して発効した「最終規則」

米国では「2014年産業用ヘンプ農業法」が大学等研究機関と農業者による生産計画に基づく産業用ヘンプの栽培を一部解禁し、さらに「2018年農業法(Farm Bill 2018)」によって約80年ぶりに全米でヘンプ栽培が全面的な解禁となった(本誌20年2月号参照)。医療用大麻が36州で、嗜好用大麻が16州でそれぞれ合法化されたが、連邦法による合法化を実現したのは産業用ヘンプだけだ。
農業法に基づく詳細な規則は19年10月に暫定的に公開されたが、その後、利害関係者への複数回にわたる公聴会や約5900件のパブリックコメントの指摘を踏まえて、21年3月に「最終規則」が発効した。重要な点を日本の大麻取締法と比較しながら紹介する。

許容可能なTHC濃度

18年農業法ではTHC(テトラヒドロカンナビノール)濃度が0.3%の品種をヘンプと定めている。最終規則で特徴的なのは、測定の不確かさを加味した「許容可能なヘンプのTHC濃度」を定義づけたことである。例えば、THC濃度がばらつきを含む「0.35%±0.06%」という測定値であれば、下限値0・29%から上限値0・41%までと幅がある。この場合、下限値0.29%が基準値0.3%を超えていないので、「許容可能」と解釈すると示したのだ。
また、同法律ではTHC濃度を「デルタ9-THC濃度」と表記している。その解釈については、「総THC量=THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)×0.877+THC」という換算式を使うことになった。ヘンプの植物体内でTHCは、主にTHCAの状態で存在しているが、脱炭酸を考慮した「総THC量」を指標とすることを意味する。

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