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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

米国(5) ヘンプ解禁後に5900件もの意見を反映して発効した「最終規則」


このTHC検査ビジネスに参入している日本企業がある。17年から(株)島津製作所の米国子会社がTHCなどの麻に含まれる機能的成分であるカンナビノイド11種類の濃度をわずか10分で検出する装置の検査機関への販売を手がけている(図1)。同社は専門家や企業等の関係者を集めた3000人規模の「カンナビノイド科学会議」の主要スポンサーをも担う。ヘンプ専用カタログを作成し、カンナビノイドだけでなくテルペン類、残留農薬、残留溶媒、重金属、微生物・細菌、水分なども分析できる各装置に力を注いでいる。

CBD用途なら高収益

ヘンプの作付面積は2万1660ha(21年)に及ぶが、欧州やカナダのように全米で共通の認証種子制度はない。一部の州では品種基準を満たした認証種子をリスト化し、推奨している。栽培したい農家は、各州農務省から生産者免許を取得した後、推奨品種を国内の種子会社から入手するほか、他の農産物と同じ手続きに則って海外から播種用種子を入手する。
トウモロコシの収益は、17~19年の全米平均で約17万円/haで、ヘンプ栽培でも繊維用・種子用の収益はそれと同程度だった(表2)。その一方でCBD製品向けは収益性が高く、トウモロコシの代替作物として作付けが広がっている。
日本では21年1~6月に厚生労働省が「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開き、麻の部位別規制(種子や茎は合法・花と葉は違法)からTHC濃度による成分規制に転換する方針が示された。引き続き22年4月から同省審議会は大麻規制検討小委員会を設置し、大麻取締法の改正に向けた具体的な議論を行なっている。自民党所属の国会議員らが勉強会を発足するなど、ヘンプの規制緩和に向けた動きがようやく見えてきた。

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