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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
クロアチア 栽培農家の申請は許可制から届出制へ 欧州で先ゆく全草利用の合法化も
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第55回 2022年06月27日
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人口は約404万人で、その9割をクロアチア人が占め、公用語はクロアチア語だ。ドナウ川の支流のサヴァ川とドラヴァ川流域の豊かな土地では、温暖な地中海気候を活かして小麦やトウモロコシ、テンサイの栽培が盛んである。
ヘンプは「Konoplja(コノプリア)」と呼ばれ、 16世紀の文献にも登場するなど、古くから栽培が行なわれていた。1918年に第一次世界大戦が終結し、第二次世界大戦が勃発する41年まで、旧ユーゴスラビアはソビエト連邦(ソ連)、イタリアに次ぐ世界第3位のヘンプ生産国だった。現在のクロアチアの約7割に相当するサヴァ・バノビーナ地方では、33年の栽培面積が6124ha(旧ユーゴスラビアの約20%)だったという記録がある。とくに盛んに栽培されていたのは、スラヴォニア地方である(図1)。戦後の65年には1万haを超えて最大規模に達したが、輸入品のジュート麻やマニラ麻、化学繊維の普及により激減し、70年代は2000~3000haで推移した。
1961年麻薬単一条約による栽培禁止の動きはなかったが、ソ連を中心とした社会主義経済の低迷はさらなるヘンプの減産をもたらした。クロアチア国内のロープ製造工場や紡績工場がすべて廃業し、95年には栽培自体も途絶えてしまった。
そこから復活したきっかけは、2012年の農業省による法改正である。以下の4項目を満たせば食品用および飼料用の栽培が可能になったのだ。
ヘンプ栽培の栄枯盛衰
ヘンプは「Konoplja(コノプリア)」と呼ばれ、 16世紀の文献にも登場するなど、古くから栽培が行なわれていた。1918年に第一次世界大戦が終結し、第二次世界大戦が勃発する41年まで、旧ユーゴスラビアはソビエト連邦(ソ連)、イタリアに次ぐ世界第3位のヘンプ生産国だった。現在のクロアチアの約7割に相当するサヴァ・バノビーナ地方では、33年の栽培面積が6124ha(旧ユーゴスラビアの約20%)だったという記録がある。とくに盛んに栽培されていたのは、スラヴォニア地方である(図1)。戦後の65年には1万haを超えて最大規模に達したが、輸入品のジュート麻やマニラ麻、化学繊維の普及により激減し、70年代は2000~3000haで推移した。
1961年麻薬単一条約による栽培禁止の動きはなかったが、ソ連を中心とした社会主義経済の低迷はさらなるヘンプの減産をもたらした。クロアチア国内のロープ製造工場や紡績工場がすべて廃業し、95年には栽培自体も途絶えてしまった。
規制緩和の2つの波
そこから復活したきっかけは、2012年の農業省による法改正である。以下の4項目を満たせば食品用および飼料用の栽培が可能になったのだ。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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