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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

ジンバブエ 衰退するタバコ産業の代替へ 外国企業の誘致を国が後押し

ジンバブエ共和国はアフリカ南部に位置し、ザンビア、モザンビーク、ボツワナ、南アフリカ共和国に囲まれた内陸国である(図1)。国土面積は日本よりやや大きく、亜熱帯性気候に属するものの、標高が高いため比較的過ごしやすい。
英国植民地から1980年に独立したが、2009年に経済と金融政策に失敗し、1米ドル=250億ジンバブエ・ドルというハイパーインフレを招いたことで知られている。人口は約1486万人で、英語のほか、7割を占めるショナ人のショナ語など公用語は全部で16言語ある。全就労人口の7割が農業分野で働いていて、世界第5位の生産量のタバコ、砂糖、綿花が主な輸出品である。

外国企業の働きかけで禁止政策から合法化へ

大麻は、ショナ語で「ムバンジェ(mbanje)」と呼ばれ、体を癒し、治療にも用いる薬草として、精神を高揚させ、精神的な領域を広げる嗜好品として親しまれてきた。しかし、19世紀後半に英国の植民地に組み込まれ、独立後も長らく大麻禁止政策を強いられた。
17世紀以降、ヨーロッパの人々はアフリカの現地の人々を支配下に置き、ヨーロッパ式の宗教や政治制度、言語、文化等を“与える”ことを“未開な人々”を文明化する行為として正当化した。中東やインド方面から伝わった嗜好品としての大麻の風習も、アフリカ諸国に広がっていたが、植民地政府は「悪い習慣」とみなして規制や禁止の対象にしたのだ。その一方で、白人のアルコール、タバコ、コーヒーの嗜みは「良い習慣」として植民地に普及させた。20世紀に入って植民地政府から独立する段階でも、大麻禁止政策は引き継がれ、そのまま今日に至る国が多くある。
ジンバブエ政府は一転、18年にカナダ企業からの医療用大麻を栽培したいという要請に応える形で、医療と科学研究を目的とした大麻栽培の合法化(法律62:危険薬物法)に踏み切った。近隣のレソト王国に次いで、アフリカ諸国では2番目の出来事だった。

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