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特集

スガノフェア2022を見て 畑作技術体系を考える

去る7月9日~11日、スガノ農機(株)が北海道上富良野町の土の館ホワイト農場で開催した「スガノフェア2022」。北海道土を考える会(田村裕良会長)との共催で、府県の土を考える会の会員が招待された。懐かしい仲間との再会を楽しむ彼らの視線の先には、開発中の試作機を含む新製品の実演と、ユーザーの要望に寄り添った特注仕様のプラウの展示があった。そして、土を見る、土づくりを学ぶ座学プログラムでは、肥料高騰などの情勢のなか近視眼的になりがちな農業現場を意識した情報が提供された。本特集では、イベントを詳報すると同時に、近年の我が国における畑作技術体系の普及過程とこれからの展開を考えてみた。 (取材・まとめ/昆吉則)
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実演製品紹介

【土寄りが少なく、作業時間を短縮できると好評!】

まず紹介すべきは最大8連の浅耕リバーシブルプラウであろう。265馬力のジョンディアトラクターが13インチ8連の浅耕プラウを曳いていた。作業幅が264cmあるので、大型トラクターでも全幅をカバーできてタイヤ跡が残らず、ボトムが小さいので耕深は13~18cmだが、ボトムの形状とカバーボードの効果で鋤き込み性能が高い。道路走行などの移動時にはプラウを90度回転させて、トラクター後方中央に背負う機構で負担を軽減している。
道内の水田農家に聞くと、浅耕プラウは極めて評価が高い。岩見沢で乾田直播に取り組んできたユーザーいわく「これまで水田で14~20インチのプラウを使った場合、どうしても土寄りが大きく、圃場の縁の溝が深くなるため、レベラー作業の手間がかかっていた。浅耕プラウなら土寄りが少ないのに鋤き込み性が良く、縁にできる溝も小さいのでレベラー作業がずっと楽になる。結果的に作業時間の短縮になる」という。
畑作作業機の歴史が長い北海道では、水田地域でも150馬力級のトラクターの導入が珍しくなくなってきた。小麦や大豆、子実トウモロコシなどの畑作に取り組んでいれば、14インチ以上のボトムを持つプラウを所有している農家も少なくない。そんな彼らにとって、起こし山が小さく、砕土・整地の一工程を省いて即レベラーをかけられる浅耕プラウは、待望の一台である。
かつて本誌執筆者の村井信仁氏は「ヨーロッパの農家たちは二台目のプラウを持つのが当たり前だ」としきりに語っていた。本格的な耕起作業用のプラウと、作物残渣の腐熟促進を進めるために土壌混和用の耕深の浅いプラウとを導入し使い分けることを勧めていた。その意味では、畑作地帯の農業経営者にとっても注目のプラウだ。
丘曳き・溝曳き兼用の5連・6連仕様は、パワフルリンク仕様でオフセット幅が広いのが特徴だ。半端な残耕部分もオフセットすることで畔際まできれいに起こせる。
この日の実演では、緑肥や背の高い雑草などをPTO駆動なしで細断処理するリボーンローラーをトラクターのフロントに装着していた。リアにも装着できるが、浅耕プラウと組み合わせれば草の細断・鋤き込みが一工程で済み、腐熟促進効果も高くなるだろう。

【直装式レベラーの新提案】

レーザーレベラーには2種類ある。牽引式はトラクターの前進のみで均すため、初心者でも、クルクル回っていれば平らにできる。一方の直装式は、ブルドーザと同じ動きで前後しながら効率的に均していく。どちらを選ぶかはトラクターや圃場の条件、オペレータの腕、好みにもよるだろう。
今回披露された直装式レーザーレベラーは、油圧機構をレベラー側に搭載し、排土板の前にチゼルがついている。直装式はトラクターの型式ごとにレザコンが必要になるという弱点を抱えてきた。レベラー側に油圧コントロールユニットを搭載することで、トラクターの型式も外部油圧の搭載状況も気にせず、どのトラクターにも付け替えられるようになる。

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