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コメ記者熊野のコメ市場情報

厳しい量販店等末端の反応 新米価格値上げ要請難航

7月下旬に宮崎早期米コシヒカリが出回り始めたが、首都圏の卸など流通業者の反応は“冷淡”と言えるほど冷めきっている。一応、クリスタルライスが7月中旬に行なったFAX取引会で、8月1日までの受け渡し条件で1万3900円で成約したものの、成約した数量はわずか3車で、仲介業者に言わせると「まさにご祝儀相場」とのこと。
かつて日本一早い新米として一世を風靡した早期米の太宗宮崎コシヒカリも、消費者の新米への関心が薄れるとともに大消費地の流通業者の引き合いも低調になっている。
卸等が今年の新米の買い意欲が低調な最大の要因は「先行きが読めなくなった」ことにある。早期米が出回る前にコロナ禍が収まり、外食店の売上が回復したと思ったのも束の間、第7波の急拡大で、まさに水を浴びせられた格好。
産地では新米の収穫を前に生産者を集めた研修会が開催され、卸の担当者が米穀情勢を説明した。生産者から「具体的にいくらなら22年産を買ってくれるのか?」と問われ、卸側は精いっぱいの価格を示したが、生産者側が納得するような価格ではなかった。

買いが入らない千葉ふさおとめ、21年産在庫が重荷に

首都圏のコメ卸等の流通業者の新米商戦のスタートと言えば、以前は宮崎や鹿児島の早期米をどこよりも早く量販店や百貨店の店頭に並べられるのかの競争であったが、現在はそうした競争はなくなり、特定の大手卸が品揃えの一環として仕入販売を行なっているに過ぎない。首都圏の卸にとって新米商戦のスタートは関東の早期米で、中でも千葉ふさおとめ、ふさこがね、茨城あきたこまちなどが主力商品になっている。
7月中旬に行なわれたクリスタルライスのFAX取引会でも8月中受け渡し条件で千葉ふさおとめの売り物が出たのだが、なんと全く買いが入らなかった。売り唱え価格は1万1300円で、21年産米と比較すればやや割高感はあるものの買い指し値が入って交渉できる価格帯であったにもかかわらず、買い声が出なかったこと自体が深刻だ。
量販店等へ白米を納入している卸はその要因について「量販店のバイヤーは新米といえども値上げを認めるような状況ではない」という。それ以前に「在庫になっている21年産米を売り切るのが先決」としており、この重荷を取り除くことを優先している。その重荷がどの程度かと言うと今年10月末に持ち越す21年産米は適正とされる在庫より20万t多い70万tと見込まれている。この中には周年安定対策を活用して隔離した古米も含まれており、これを今年11月以降に販売しなければならず、この分が新米の足を引っ張ると見ているのだ。

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