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ノーズ・へディング(機首)は風と機速のベクトルで決まるので、あえて逆らわず少し風向きのままでアプローチする。スレッシュホールドを高度50フィートで通過すると同時に、右エルロンのままにして機体の右側の揚力を抑え、ラダーをランウエイの中心線に合わせるように左ラダーで調節する。風向きが正対していれば、こんな小難しい操作はいらないが、気まぐれ気象には敵わないのでそこはしっかり対応する。ん~バッチリじゃん、と心で自分を褒めるがライトシートの教官は何も言わない。
横風着陸後は早めにノーズ(前輪)をランウエイに着けて地上滑走に移る。タイヤから“ダッダッダッ”と連続音が出る。これはランウエイの進行方向の直角に溝が彫られていて、排水と滑走距離低減を助けるのだ。
着陸したと思ったらすぐにスロットル全開。速度があるので離陸速度にすぐ達する。ヨークを引くが少し重いので、エレベータートリムを下げて調整するとヨークは軽くなる。だが、下げ過ぎるとヨークをフォアードできなくなり、その結果、速度が落ち、ストールの危険がある。速度計を見てVx (最大上昇角速度)からVy(最良上昇速度)に移行する。
教官が「一度5マイル出て、そうだな15マイルからSimirated GCAやるから」と言う。正しい発音はスィミレイテッドだ。もちろん事前にフライトプランの手続きでGCA(Ground Controlled Approach)は済ませていた。
GCAは、あの冷戦下のベルリン空輸で飛行機の混雑や悪天候に対応するために管制官のボイスで誘導した進入方式のことだ。現在ではレーダーの組み合わせで西側(?)の軍や自衛隊、一部は那覇、小松、千歳、丘珠(札幌)等で利用されている。
教官の「さー始めるか」に応えて、まずアプローチのコントローラーと無線のやり取りをする。何度かのやり取りがあり、ファイナル・コントローラーに左右と上下のグライド・パスからの位置を教えてもらった。
250馬力の4人乗り機
今回は悪天候を予測した訓練だ。コックピット前にはカバーが掛けられ、目視で前方を見ることができない。一昨年までは160馬力のセスナ172で飛んでいたが、諸般の事情でクラブまで貸す余裕がなくなってきた。そこで計器飛行用の250馬力のビーチクラフト社製BE36の4人乗りで最近は飛んでいる。
セスナはスロットルだけでパワーコントロールをやるが、大まかに200馬力を超す飛行機はプロペラのピッチコントロール付きがほとんどだ。離陸と着陸時はプロペラのピッチを浅くしてプロペラの抵抗を抑える。車の1速と同じだ。巡航になるとピッチを深くして速度を上げる。車で言えば、4速、5速のギアになる。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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