ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信

トラクターも飛行機もやっぱりパワーが要る


ノーズ・へディング(機首)は風と機速のベクトルで決まるので、あえて逆らわず少し風向きのままでアプローチする。スレッシュホールドを高度50フィートで通過すると同時に、右エルロンのままにして機体の右側の揚力を抑え、ラダーをランウエイの中心線に合わせるように左ラダーで調節する。風向きが正対していれば、こんな小難しい操作はいらないが、気まぐれ気象には敵わないのでそこはしっかり対応する。ん~バッチリじゃん、と心で自分を褒めるがライトシートの教官は何も言わない。
横風着陸後は早めにノーズ(前輪)をランウエイに着けて地上滑走に移る。タイヤから“ダッダッダッ”と連続音が出る。これはランウエイの進行方向の直角に溝が彫られていて、排水と滑走距離低減を助けるのだ。
着陸したと思ったらすぐにスロットル全開。速度があるので離陸速度にすぐ達する。ヨークを引くが少し重いので、エレベータートリムを下げて調整するとヨークは軽くなる。だが、下げ過ぎるとヨークをフォアードできなくなり、その結果、速度が落ち、ストールの危険がある。速度計を見てVx (最大上昇角速度)からVy(最良上昇速度)に移行する。
教官が「一度5マイル出て、そうだな15マイルからSimirated GCAやるから」と言う。正しい発音はスィミレイテッドだ。もちろん事前にフライトプランの手続きでGCA(Ground Controlled Approach)は済ませていた。
GCAは、あの冷戦下のベルリン空輸で飛行機の混雑や悪天候に対応するために管制官のボイスで誘導した進入方式のことだ。現在ではレーダーの組み合わせで西側(?)の軍や自衛隊、一部は那覇、小松、千歳、丘珠(札幌)等で利用されている。
教官の「さー始めるか」に応えて、まずアプローチのコントローラーと無線のやり取りをする。何度かのやり取りがあり、ファイナル・コントローラーに左右と上下のグライド・パスからの位置を教えてもらった。

250馬力の4人乗り機

今回は悪天候を予測した訓練だ。コックピット前にはカバーが掛けられ、目視で前方を見ることができない。一昨年までは160馬力のセスナ172で飛んでいたが、諸般の事情でクラブまで貸す余裕がなくなってきた。そこで計器飛行用の250馬力のビーチクラフト社製BE36の4人乗りで最近は飛んでいる。
セスナはスロットルだけでパワーコントロールをやるが、大まかに200馬力を超す飛行機はプロペラのピッチコントロール付きがほとんどだ。離陸と着陸時はプロペラのピッチを浅くしてプロペラの抵抗を抑える。車の1速と同じだ。巡航になるとピッチを深くして速度を上げる。車で言えば、4速、5速のギアになる。

関連記事

powered by weblio