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【江刺の稲】
世代交代とよそ者の参入が農業を変えていく
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第315回 2022年09月30日
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今月号の特集では、遺伝子組換え作物の商業生産を始めようと呼びかけている。そんななか、茨城県で有機農業に取り組む久松達央氏の新著『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ』を紹介したい。農業界にケンカを売るようなタイトルにもかかわらず、初版発行からひと月を経ずして第三刷が出るなど人気を博しているようだ。
久松氏は有機農産物の生産販売を仕事としながらも様々な場面で「有機農業を慣行農業の上位に置くのは間違いである」と主張し続けている。それは同氏なりの農業経営者としての矜持だろう。さらにあえて農薬を使わないというハンデを自らに課して取り組む農業経営の面白さを追求すればこそ語れる言葉なのだ。そんな彼であればこそ、世間で農業や農家に関して語られるウソについても黙ってはいられないのだろう。農家数の多さが日本農業の足かせであること、改革を阻む「貧農史観」、後継者問題や使い物にならない新規就農者への補助政策など、その内容は本誌上で度々取り上げた内容だが、それを現実の農業経営者の言葉として語ることで説得力と共感を持って人々に受け取られる。農薬や化学肥料の不使用での生産技術上の困難を乗り越え、同氏なりの経営戦略を作り上げてきた考え方と生き方、そして小さな経営を成り立たせてきた“思想”を語る同書は、非農家の人々にも支持を受けるものだと思う。
久松氏は有機農産物の生産販売を仕事としながらも様々な場面で「有機農業を慣行農業の上位に置くのは間違いである」と主張し続けている。それは同氏なりの農業経営者としての矜持だろう。さらにあえて農薬を使わないというハンデを自らに課して取り組む農業経営の面白さを追求すればこそ語れる言葉なのだ。そんな彼であればこそ、世間で農業や農家に関して語られるウソについても黙ってはいられないのだろう。農家数の多さが日本農業の足かせであること、改革を阻む「貧農史観」、後継者問題や使い物にならない新規就農者への補助政策など、その内容は本誌上で度々取り上げた内容だが、それを現実の農業経営者の言葉として語ることで説得力と共感を持って人々に受け取られる。農薬や化学肥料の不使用での生産技術上の困難を乗り越え、同氏なりの経営戦略を作り上げてきた考え方と生き方、そして小さな経営を成り立たせてきた“思想”を語る同書は、非農家の人々にも支持を受けるものだと思う。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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