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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

ハンガリー 育種研究で世界に貢献する国

ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する内陸の国で、首都ブダペストは、ドナウ川によって二分された地形に歴史ある美しい街並みが残された観光地だ。国土は日本の約4分の1で、人口は約970万人を有する。日本と同じように四季があり、夏と冬の寒暖の差が大きい大陸性気候で、「欧州の穀倉」と呼ばれるように小麦やトウモロコシ、ワイン、食肉の生産が盛んな食糧輸出国である。また、ピーマンやトウガラシの仲間のパプリカの生産量も多く、パプリカ料理が名物となっている。
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ヘンプ繊維生産の衰退

ヘンプがハンガリーにいつ導入されたかは正確にはわかっていないが、西暦900年頃には栽培していたと考えられている。明らかになっているのは、ハンガリー語でヘンプを意味する「kender(ケンダー)」が、ハンガリー王国が建国された1000年以前から古代トルコ語に起源を持つ外来語だったことだ。1198年当時のハンガリーの首都・エルテルゴムの王室関税法案に、ヘンプと亜麻について記載された古文書が残されている。
ヘンプの栽培と加工については、1870年頃までは農民により小規模に行なわれていた。イタリアから繊維向けの品種が導入後は、ロープ工場や織物工場ができて栽培も加工も大規模化した。第二次世界大戦後は旧ソ連占領下に置かれ、その後も共産圏に属したため、1961年麻薬単一条約の栽培禁止の影響は受けず、6000ha規模の栽培が続いた。しかし、89年以降はソ連崩壊に伴う混乱から、ヘンプ栽培は衰退し、加工工場が閉鎖されていってしまった。
04年にハンガリーはEUに加盟し、EU規則に基づいた栽培が可能になり、現在はヘンプ栽培の復活に向けて、複数のグループが昔ながらの立木乾燥と水浸法によるレッティングで品質の良いヘンプ繊維づくりに取り組んでいる(図1)。輸出量は増えているが、いずれも資金不足や技術的な制約により悩まされている。

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