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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
ハンガリー 育種研究で世界に貢献する国
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第58回 2022年09月30日
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ヘンプがハンガリーにいつ導入されたかは正確にはわかっていないが、西暦900年頃には栽培していたと考えられている。明らかになっているのは、ハンガリー語でヘンプを意味する「kender(ケンダー)」が、ハンガリー王国が建国された1000年以前から古代トルコ語に起源を持つ外来語だったことだ。1198年当時のハンガリーの首都・エルテルゴムの王室関税法案に、ヘンプと亜麻について記載された古文書が残されている。
ヘンプの栽培と加工については、1870年頃までは農民により小規模に行なわれていた。イタリアから繊維向けの品種が導入後は、ロープ工場や織物工場ができて栽培も加工も大規模化した。第二次世界大戦後は旧ソ連占領下に置かれ、その後も共産圏に属したため、1961年麻薬単一条約の栽培禁止の影響は受けず、6000ha規模の栽培が続いた。しかし、89年以降はソ連崩壊に伴う混乱から、ヘンプ栽培は衰退し、加工工場が閉鎖されていってしまった。
04年にハンガリーはEUに加盟し、EU規則に基づいた栽培が可能になり、現在はヘンプ栽培の復活に向けて、複数のグループが昔ながらの立木乾燥と水浸法によるレッティングで品質の良いヘンプ繊維づくりに取り組んでいる(図1)。輸出量は増えているが、いずれも資金不足や技術的な制約により悩まされている。
ヘンプ繊維生産の衰退
ヘンプがハンガリーにいつ導入されたかは正確にはわかっていないが、西暦900年頃には栽培していたと考えられている。明らかになっているのは、ハンガリー語でヘンプを意味する「kender(ケンダー)」が、ハンガリー王国が建国された1000年以前から古代トルコ語に起源を持つ外来語だったことだ。1198年当時のハンガリーの首都・エルテルゴムの王室関税法案に、ヘンプと亜麻について記載された古文書が残されている。
ヘンプの栽培と加工については、1870年頃までは農民により小規模に行なわれていた。イタリアから繊維向けの品種が導入後は、ロープ工場や織物工場ができて栽培も加工も大規模化した。第二次世界大戦後は旧ソ連占領下に置かれ、その後も共産圏に属したため、1961年麻薬単一条約の栽培禁止の影響は受けず、6000ha規模の栽培が続いた。しかし、89年以降はソ連崩壊に伴う混乱から、ヘンプ栽培は衰退し、加工工場が閉鎖されていってしまった。
04年にハンガリーはEUに加盟し、EU規則に基づいた栽培が可能になり、現在はヘンプ栽培の復活に向けて、複数のグループが昔ながらの立木乾燥と水浸法によるレッティングで品質の良いヘンプ繊維づくりに取り組んでいる(図1)。輸出量は増えているが、いずれも資金不足や技術的な制約により悩まされている。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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