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コメ記者熊野のコメ市場情報

川上高・川下安の価格傾向に新米商戦の歪な構造要因

スーパー等量販店に22年産新米が並び始めた。販売されている精米の価格を見ると昨年の同じ時期に並んだ精米価格よりも安いものが散見される。具体的には5kg税別で宮崎コシヒカリは1580円、千葉ふさおとめは1380円といった売価のものもある。
生産サイドでは、肥料や農薬等生産資材の高騰で「22年産米の価格は上げざるを得ない」というのが基本的スタンスで、実際、関東や新潟では農協系統が生産者に支払う概算金を値上げした。ところが市中で取引される22年産米の価格は概算金の値上がりの半分も上がっていない。さらに最終ユーザーへの販売価格は値上がりどころか値下がりしているというのが新米商戦スタート時点での現状である。川上高の川下安。この構図は、真にコメの需要が回復しない限りいつまでも続くことになり、中間流通業者の収益を圧迫するに留まらず、最終的には生産サイドにも大きな負担を強いることになる。

上値を買えないコメ卸 量販店向け値上げ通らず

関東の早期米価格動向を知るうえで全国から注目されていた千葉穀類協議会主催の新米取引会が8月19日に千葉市で開催された。表1はその時に成約した価格を示したものだが、昨年同時期に比べ、60kg当たり300円程度の値上がりに留まっている。
この取引会開催時には、全農千葉県本部が22年産概算金を1000円値上げしたことは織り込み済みだったが、実際に成約した価格はその半分以下の値上がりに留まった。また、千葉県に多い直売する農協は、概算金ではなく買取価格を生産者に示しており、その価格を値上げしたことも地元の集荷業者はよく知っていた。にもかかわらず成約価格が上げきれなかった要因として、買い手の卸等が量販店との精米値入交渉に苦戦、値上げが通るような状況にはなかったことがあげられる。 
農水省が公表しているマンスリーリポートに主な銘柄の小売価格の推移が出ているが、これを見ると精米の価格を上げられない原因が容易に分かる。

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