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特集

大麻取締法の75年ぶりの大幅な改正でどうなる?! 日本の産業用ヘンプ


あり方検討会がとりまとめた報告書で示された方針を下記に示す。
(1)若者の大麻事犯急増に対応するための大麻使用罪の創設
(2)大麻および大麻樹脂の医療価値を認めたWHO勧告の国連採択を受けての大麻由来医薬品の使用解禁
(3)茎と種子の利用は合法で花と葉の利用が違法という現行の植物の部位規制から、THCによる成分規制への変更
(4)薬物事犯者の再乱用防止対策の強化
なかでも「大麻使用罪の創設」については、異論が噴出した。関西薬物依存症家族の会が「逮捕や補導には効果がない」というアンケート結果を公表したり、有志の弁護士らが大麻使用罪の創設に反対する署名を集めて厚労省に提出(署名総数:1万4761筆)したり、依存症患者を支援する9つの関連団体が「嗜好用大麻を使用した若者らを社会から排除せず、費用対効果の高い“刑の代替支援措置”を導入すること」を厚労省に要望したりした。
使用罪の創設に反対する人々の主張内容は大きく2つある。まず、刑罰によって9割の「問題ない薬物使用者」を逮捕、勾留、投獄することで、社会的にスティグマ(負の烙印)を生んでおり、残り1割の治療を受けるべき「問題のある薬物使用者」を救えないという主張だ。そして、世界的に薬物政策が懲罰的アプローチから健康的アプローチに転換し、大麻に限れば米国のバイデン大統領が公式表明(22年10月)するくらい非犯罪化する国や地域が増えるなか、新たに使用罪を創設する日本は逆行するという指摘である。
また、国内栽培では、16年に三重県で麻栽培を始めた(一社)「伊勢麻」振興協会が、繊維やオガラの県外出荷が認められない事態を受け、許認可と栽培要件の緩和について行政や県議会、厚労省、国政に働きかけた。あり方検討会の第5回会合(21年4月23日)で、日本の麻文化を守ることが確認されたのはその成果である。
実は、あり方検討会期間中に厚労省のウェブサイトに記載していた過去の大麻事犯をもとに作成された『大麻栽培でまちおこし!?』冊子(図4)とその関連事項が削除されている。この冊子には、大麻取締法で認められている麻栽培を危険なものであるかのような過剰表現があり、日本の伝統文化を支えてきた大麻栽培者の尊厳を傷つけていたためである。
さらに、21年9月には大麻栽培者に一部の都道府県が過剰な規制を強いていた件にも厚労省からの通達が出た。近年は、都道府県により詳細は異なるが、規制対象外の繊維や茎の県外越境取引の禁止、盗難防止のための高さ2.7mの鉄柵の設置、24時間稼働する監視カメラの設置、監視記録の5年間保存、後継者育成のための農業研修生の受入禁止などの規制が掛けられていた。あくまでも大麻取締法等の改正に向けた過渡的な時期にあることに照らして、今後の免許審査等において大麻栽培者に過度な負担がかからないよう弾力的な対応を助言した形である。

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