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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
タイ(2) 薬用大麻とヘンプ製品でハーブ大国の座を狙う
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第59回 2022年10月31日
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しかし、タイでは1万1600 種あるタイハーブのうちの16%しか活用されておらず、輸出用の国際基準を満たしていなかった。そのため、ハーブ製品法(第2562号)を19年に制定し、ハーブ製品の安全性が国際基準を満たすことを保証する法制度を整えた。同法律は、インドのアーユルヴェーダと中国の中薬学を融合したタイ式伝統医療を強力に推進する。そして、政府がコロナ禍で疲弊した経済の立て直しの切り札として注目しているのが、薬用大麻とヘンプ由来のハーブ製品なのだ。
同国の麻薬法(97年に施行)では、大麻は第5種麻薬に指定され、取り締まりの対象だった。だが、19年には薬用大麻を合法化し、ヘンプはマリファナの主成分であるTHC濃度が1%未満のものと定義した(本誌19年6月号参照)。
さらに、同国保健省の通知により、22年6月9日からは大麻草(花序、葉、枝、茎、根、種子を含むすべて植物部位)と、THC濃度0.2%以下の大麻抽出物が第5種麻薬リストから外された。この決定を受けて、まず大麻事犯で逮捕され刑務所に収監されていた3219人の受刑者が釈放された。
そして、大麻が麻薬でなくなったことをアピールするために、政府は100万本の大麻草の苗を国民に無料配布した(図1)。それまで許可制だった大麻栽培については、保健省指定の携帯用アプリをダウンロードして登録すれば、商業販売を目的としないことを条件に栽培本数、THC濃度の高低や品種に関係なく、個人的な家庭栽培が可能となった。解禁1カ月後には、栽培アプリの登録者が100万人を超えたという。
【薬物政策の転換により大麻を麻薬から除外】
同国の麻薬法(97年に施行)では、大麻は第5種麻薬に指定され、取り締まりの対象だった。だが、19年には薬用大麻を合法化し、ヘンプはマリファナの主成分であるTHC濃度が1%未満のものと定義した(本誌19年6月号参照)。
さらに、同国保健省の通知により、22年6月9日からは大麻草(花序、葉、枝、茎、根、種子を含むすべて植物部位)と、THC濃度0.2%以下の大麻抽出物が第5種麻薬リストから外された。この決定を受けて、まず大麻事犯で逮捕され刑務所に収監されていた3219人の受刑者が釈放された。
そして、大麻が麻薬でなくなったことをアピールするために、政府は100万本の大麻草の苗を国民に無料配布した(図1)。それまで許可制だった大麻栽培については、保健省指定の携帯用アプリをダウンロードして登録すれば、商業販売を目的としないことを条件に栽培本数、THC濃度の高低や品種に関係なく、個人的な家庭栽培が可能となった。解禁1カ月後には、栽培アプリの登録者が100万人を超えたという。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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