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Economic eye

みどり戦略が農業・農村を変えるか〈下〉

「みどり戦略」の成否を分けるのは、日本人と欧米人の違いだ。欧米人は「エシカル消費」(ethical倫理的な)が日本人より積極的だ。消費を通じて、SDGsの目標達成に貢献する精神が、日本人より強い。
例えば、日本はフェアトレード商品の普及が遅れている。フェアトレードとは開発途上国の産物を適正な価格(再生産価格)で購入することにより、開発途上国の生産者の自立をサポートする貿易の仕組みである。西欧諸国では「フェアトレード」概念が市民の6~7割に普及しているようだが、日本では3割程度と言われる。実際、フェアトレード商品の市場規模は、日本は158億円、ドイツは2374億円である。国民1人当たり年間購入額は日本126円、ドイツは2855円、20倍も高い。
フェアトレードは「エシカル消費」の一つであり、消費を通じて、途上国の人権や経済発展を支援している。日本はその精神が欧米先進国に比べると低い。
さて、農水省の説明によると、「みどり戦略」は地球環境危機対策であり、“持続可能な食糧システム”を創るための改革である。ここでは「5割減農薬」「有機農業比率25%」等は、環境負荷を削減するための手段の一つに過ぎない(ちなみに、日本の温室効果ガス排出量の3.9%は農林業由来。世界は23%)。
新しい農政が「健康・食の安全」を目標にすれば(科学的根拠必要)、市場原理がみどり戦略の成功を導くと思う。消費者の健康志向が一段と強まり、5割減農薬等の農産物は価格が上昇しよう。例えば生産者米価は全国平均1万2000円(玄米60kg当たり)であるが、無農薬の自然栽培米はその3倍、4万円である。価格は上方伸縮的である。農業経営者の行動は“価格の関数”であるから、減農薬米栽培にシフトしていく。

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