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特集

日本でいよいよ始まるか!遺伝子組換え作物の生産とその未来 Part3 商業栽培開始への道筋

昆 本誌は今年の10月号から遺伝子組換え(GM)作物の特集をスタートさせました。その一環としてこの座談会を企画しています。農業経営者の宮井さんと徳本さんにはGMに強く望んでいることを語っていただきたいです。それを受けて、小島さんには助言や感想を加えていただければと思います。
小島 GM以外のゲノム編集も議論に入るんですか?
昆 いや、できればGMでお願いします。
小島 なぜ聞いたかというと、9月14日に東京で開いたオランダ映画「WELL FED」(注:GM作物をテーマにしたドキュメンタリー)の上映会に来ていた農研機構の研究者はずっとGMの研究をやっていた人なんですけど、もう農研機構としては半ばGMをあきらめたと。だから、もうこれ以上国産のGM作物は出てこないと思います。出てこないっていうことになると結局GMの種子をどこから買うかというと、現実的にはアメリカかカナダしかないですよね。そうすると必ず外資の大企業の利益になるだけとかいう反対が予想されます。ほんとは国産があると一番いいんですけど、国はゲノム編集に力を入れています。その映画についてのお知らせを農水省の関連団体のメルマガに載せてほしいって言ったら、もうゲノム編集しか相手にしませんと言っているんですよ。もはや国の視野にはGMは入っていないということですね。そういう状況の中で生産者がGM種子を植えようということになると、かなり戦略的にやらないと成功しないと思いますね。
昆 GMとゲノム編集は何が違うかということを説明しておきましょう。
小島 それは、外の動植物から遺伝子を入れられたかどうかだけの差です。外部から遺伝子が組み入れられた作物や生物の場合は安全性評価が義務づけられているので、すべてのゲノム配列も調べられた上で安全性がチェックされています。なので、GMのほうがむしろ安全だと言っている科学者もいっぱいいますよね。ゲノム編集は、従来の品種改良と同じなんですが、安全性の評価という点に限れば、GMのほうが信頼できるともいえますね。
昆 つまり、GMのほうがはるかに多くのチェック機能が働いていて、現実にはむしろ信頼性が高い。にもかかわらず、GM作物の世間の位置づけはそうじゃない。しかも、少なからぬ科学者までもがGM作物を語るとゲノム編集も同列に見られてやりづらくなるという問題があります。科学者の態度としてはとんでもない話で、GMをもっと積極的に語ってほしいですね。
小島 確かにそうですね。もっとも、日本の場合はゲノム編集作物や生物でも一応政府がゲノム配列全部を審査しているので、実質的にはGMと同じことをやっているんですけどね。ただし今後、海外から入ってくると思われるゲノム編集食品はそこまでの審査をやっていないので、ゲノム編集でできた輸入品が議論になりそうな気がします。いずれにせよ、外部から遺伝子を持ってこないゲノム編集技術には応用範囲に限界があります。やがてGMが再評価されると思います。

GM作物を手がけたい理由

昆 お二人はなぜGMをやりたいんですか。

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