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土門「辛」聞

22年産米作況調査は大ハズレ 実態を裏付ける二つの客観資料

22年産の作況調査はひどかった。実際の作況実態と大きくかけ離れた結果を出してしまったからだ。作況調査に対するマーケットの信用を失墜させてしまい、神明ホールディングス藤尾益雄社長は、9月25日時点の調査結果が出た直後にマーケットの声を代弁してこんな感想を述べていた。
「農水省は、令和4年産の生産量を670万tという数字を示したが、実際にはそんなには獲れていないと思う。同年産はタイト感があって、何年かぶりに調達(仕入れ)で苦労している」(10月20日「食料・農業・農村政策審議会」)。
670万tは、その6日前に統計部が公表した9月25日時点の22年産予想収穫量のことである。同時に公表の作況指数は「100」。藤尾社長が新米仕入れに苦労しているということは、統計部の予想収穫量や作況指数が実態と大きくかけ離れていることを指摘したものである。
統計部は、藤尾社長の指摘にも馬耳東風。幹部に至っては、具体的事実を示して説明しても、所詮は馬の耳に念仏。その際、裏付け資料があるよと耳打ちしたら、さすが役人だ。そのときばかりは馬の耳も風に反応した。
思わせぶりな予告編を披露してしまった。本稿では、統計部がガンと認めない22年産米の作況調査結果が現場実態と大きく異なることを証明したい。

作況調査の“通知簿"は新米相場が示す価格だ

その前に作況調査のイロハを説明しておこう。水稲の場合、7月15日時点の西南暖地(徳島、高知、宮崎、鹿児島、沖縄の5県)における早期栽培等の作柄概況から始まる。次に8月15日時点の作柄概況になる。マーケットが注目するのは、この調査から。全国の産地をカバーしているためだ。
作柄概況とは、稲の生育や収穫高の状態を表したもので、「良」(106以上)、やや良(102~105)、平年並み(99~101)、やや不良(95~98)、不良(94以下)の5段階評価で示される。
実は、7月15日時点と8月15日時点の作柄概況を目的とした調査に大きな見直しがあった。従来の調査員による目測調査から、「人工衛星からの取得データを活用した水稲作柄予測手法」に切り替えたことだ。西南暖地だけの前者は、試験的な意味合いを込めて20年産から、全国をカバーする後者は21年産から本格運用となった。
この見直しこそ、22年産の作況調査が大きく実態からかけ離れた原因になったものと考えている。決定的な客観資料を添えて説明してみたい。

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