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【土門「辛」聞】
22年産米作況調査は大ハズレ 実態を裏付ける二つの客観資料
- 土門剛
- 第218回 2022年12月02日
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「農水省は、令和4年産の生産量を670万tという数字を示したが、実際にはそんなには獲れていないと思う。同年産はタイト感があって、何年かぶりに調達(仕入れ)で苦労している」(10月20日「食料・農業・農村政策審議会」)。
670万tは、その6日前に統計部が公表した9月25日時点の22年産予想収穫量のことである。同時に公表の作況指数は「100」。藤尾社長が新米仕入れに苦労しているということは、統計部の予想収穫量や作況指数が実態と大きくかけ離れていることを指摘したものである。
統計部は、藤尾社長の指摘にも馬耳東風。幹部に至っては、具体的事実を示して説明しても、所詮は馬の耳に念仏。その際、裏付け資料があるよと耳打ちしたら、さすが役人だ。そのときばかりは馬の耳も風に反応した。
思わせぶりな予告編を披露してしまった。本稿では、統計部がガンと認めない22年産米の作況調査結果が現場実態と大きく異なることを証明したい。
その前に作況調査のイロハを説明しておこう。水稲の場合、7月15日時点の西南暖地(徳島、高知、宮崎、鹿児島、沖縄の5県)における早期栽培等の作柄概況から始まる。次に8月15日時点の作柄概況になる。マーケットが注目するのは、この調査から。全国の産地をカバーしているためだ。
作柄概況とは、稲の生育や収穫高の状態を表したもので、「良」(106以上)、やや良(102~105)、平年並み(99~101)、やや不良(95~98)、不良(94以下)の5段階評価で示される。
実は、7月15日時点と8月15日時点の作柄概況を目的とした調査に大きな見直しがあった。従来の調査員による目測調査から、「人工衛星からの取得データを活用した水稲作柄予測手法」に切り替えたことだ。西南暖地だけの前者は、試験的な意味合いを込めて20年産から、全国をカバーする後者は21年産から本格運用となった。
この見直しこそ、22年産の作況調査が大きく実態からかけ離れた原因になったものと考えている。決定的な客観資料を添えて説明してみたい。
670万tは、その6日前に統計部が公表した9月25日時点の22年産予想収穫量のことである。同時に公表の作況指数は「100」。藤尾社長が新米仕入れに苦労しているということは、統計部の予想収穫量や作況指数が実態と大きくかけ離れていることを指摘したものである。
統計部は、藤尾社長の指摘にも馬耳東風。幹部に至っては、具体的事実を示して説明しても、所詮は馬の耳に念仏。その際、裏付け資料があるよと耳打ちしたら、さすが役人だ。そのときばかりは馬の耳も風に反応した。
思わせぶりな予告編を披露してしまった。本稿では、統計部がガンと認めない22年産米の作況調査結果が現場実態と大きく異なることを証明したい。
作況調査の“通知簿"は新米相場が示す価格だ
その前に作況調査のイロハを説明しておこう。水稲の場合、7月15日時点の西南暖地(徳島、高知、宮崎、鹿児島、沖縄の5県)における早期栽培等の作柄概況から始まる。次に8月15日時点の作柄概況になる。マーケットが注目するのは、この調査から。全国の産地をカバーしているためだ。
作柄概況とは、稲の生育や収穫高の状態を表したもので、「良」(106以上)、やや良(102~105)、平年並み(99~101)、やや不良(95~98)、不良(94以下)の5段階評価で示される。
実は、7月15日時点と8月15日時点の作柄概況を目的とした調査に大きな見直しがあった。従来の調査員による目測調査から、「人工衛星からの取得データを活用した水稲作柄予測手法」に切り替えたことだ。西南暖地だけの前者は、試験的な意味合いを込めて20年産から、全国をカバーする後者は21年産から本格運用となった。
この見直しこそ、22年産の作況調査が大きく実態からかけ離れた原因になったものと考えている。決定的な客観資料を添えて説明してみたい。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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