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新・農業経営者ルポ

すべては地域のために。地域と人をつなぎ続ける農業経営


「国や関係機関に勧められたからではなく、地域農業を維持し、発展させるために、株式会社を選びました。特に魅力だったのは、所有と経営の分離でした。組合は決定事項に農地の所有者である組合員全員の意見を聞き、2分の1以上の合意が必要です。そこに非常にエネルギーを使います。対して株式会社は取締役会で決めることができます。そのスピード感が魅力でしたね」
営農組織として2005年に黒字化したことで、これならやっていけるのではないかという手ごたえも感じていた。そこで2006年3月の総会で、満を持して「株式会社として法人化したい」と提案した。組合員からいろいろな意見が出ることを覚悟していたが、さにあらず。誰も何も言わず、拍子抜けしてしまったと笑う。皆、農業で地域を活性化しようという考えはなく、農地を守ってくれるならそれでいいという程度の姿勢だったという。
思いはどうあれ、組合員の同意を得たことで、その年の7月に(株)ささ営農として新たなスタートを切り、八木は代表取締役に就任した。82名の組合員から1万円ずつ出資を募り、出資金は82万円。兵庫県では初めて、全国でも6例目の農業法人の株式会社だった。

収量より食味にこだわったコメづくり

同社の主力作物は、コメ、大豆、麦で、これを2年3作で回している。ほかに、もち米、前述のバジル、少量多品目で野菜も栽培する。コメはささのう米とネーミングし、商標登録も取得している。組合設立当初からJAには一切出荷せず、全量直販としてきた。組合員の保有米に加え、給食センター、福祉施設、スーパーマーケット、大阪の企業などに出荷している。また、大豆、麦は醤油会社との契約栽培だ。
たつの市とその近辺では10a当たり8~9俵くらいのコメが取れることが目安だが、同社では10a当たり6~7俵の施肥設計として、量よりも食味の良さにこだわって生産している。主力は農薬と化学肥料を地域の慣行比3割減で栽培しており、特別栽培米もある。無農薬栽培も手掛け、そのコメは「メダカ米」と名付けている。メダカ米の水田には毎年6月に地元の小学生がメダカの放流を行い、9月にはメダカの救出(捕獲)、10月には稲刈り体験なども実施し、次世代を担う子どもたちが、農業を身近に感じる機会を大切にしてきた。
また、若い世代がやりたいと思える農業にすることにも力を入れてきた。ここ数年は地元の二つの農業高校からのインターンシップを受け入れ、卒業生を新入社員として雇用もしている。

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