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小川まさゆきの現代の農業観・農地観

(株)久松農園 代表 久松達央/新規就農で年間100種類以上の有機野菜を直販する

今を生きる 一人ひとりの「農業の捉え方」を聞く! 農業の最大の魅力は、定義が決まっていないことだ。 価値観の多様化が進む現在は、この魅力がいかんなく発揮され、多様な農業観・農地観が生まれ育まれる時代にある。いまや、農業観・農地観は、農業を営む上での一つの原動力となっているのではないだろうか。 本連載では、農業経営者の心のうちにある「農業の捉え方」に注目しながら、数字では語れない、農業経営の特徴に迫る。
(株)久松農園 代表 久松 達央さん(52)
1970年茨城県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、帝人(株)を経て、99年に新規就農して久松農園を設立。年間100種類以上の有機野菜を、約320件の個人客(8割が東京圏)と都内飲食店を中心に直接販売する。経営規模は6ha(露地5.92ha、施設8a)。すべて借地(地目:畑)。雇用は、社員2名、アルバイトのべ4名。年間売上は約5,000万円、人件費率33~37%

筑波山の麓、茨城県土浦市の平坦な畑作地帯に久松農園はある。農地の宅地化や荒廃が進むなかで一際目立つのが、きれいに管理され、青々とした葉を空にピンと伸ばした有機野菜が並ぶ久松さんの畑だ。農業振興地域ではなく、市街化区域に隣接して点在し、最近建てられた新しい住宅や、セイタカアワダチソウが茂る農地も入り混じっている。久松さんは「中途半端に都市化して、農業が根付かなかったダメな場所」だと話す。
新規就農から23年、過去から現在、そして未来に向けた久松さんの農業観・農地観を尋ねた。

【こんな自由な仕事ねえよ!】
―はじめに農業観・農地観を問われてどう思われましたか?
農家の人たちはなかなか話したがりませんが、農業観とか農地観というのは経営としても大事なことですし、それぞれが持っているはずだと思います。ただ、どの程度の抽象度で語るかは人によって違いますから、話が噛み合わないことも当然あり得ますよね。
例えば、代々やってきた農家にとっては、おそらくギヴン、与えられたものですよね。自分では動かせないものだと思っている人も多いでしょう。それに対して僕のように新規就農だと、そもそも目的がないと始めない。ほかの経営を見学するようになって、売上高や品目、面積、飼養頭数のような数値でわかる経営内容が似ていても、農業の目的は人によってこんなに違うということに驚きました。なかには農業をする目的を本人が認識していないケースもいっぱいある、というのは随分経ってからわかったことですね。

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