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【土門「辛」聞】
超円安とハイパーインフレに農業者はどう備えたらよいか(2)
- 土門剛
- 第219回 2022年12月27日
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―新年はどんな年に?
波乱、それも大波乱の幕開けになるだろう。主役は日本銀行だ。11月28日公表の22年度上半期決算で保有する国債(545兆円)が巨額の評価損を出した。評価損とは、入手時に帳簿に記載した価格(簿価)が現在の価格(時価)より低い場合に出る。8749億円だった。金利上昇の影響を受けたものだ。21年度決算では逆に6兆1223億円の評価益が出ていた。わずか半期で5兆2474億円が吹き飛んだことになる。それも0.035%という小幅な金利上昇でのことだった。ロイター通信に金利上昇した場合の評価損を質問された日銀・雨宮正佳副総裁は、『1%なら28.6兆円、2%なら52.7兆円、5%なら108.1兆円になる』(12月2日付けロイター)と答えている。日銀の債務超過は決して絵空事ではない。
―日銀の倒産という事態は起こりえますか。
日銀は通貨発行の中央銀行なので、債務超過に陥ったからといって、民間金融機関のように倒産してしまうことはないと信じたいが、円の評価は確実に下がることになる。22年のドル円相場は、前年比で2割も下落した。これだけ激しい相場の動きは、プラザ合意(1985年)の時に3割も円が急騰して以来の出来事だ。アベノミクスでの国債大量購入が原因だということになると、円安は相当根深いとみるべきだ。どこまで下落するかは神のみぞ知る話だが、23年は170円は覚悟しておいた方がよい。ミスター円と呼ばれた元財務官の榊原英資さんも、そのレンジでの円安を予想していたよ。
―日米金利差が原因ですね。
そう答える方が多いけど正解は別のところにある。金利差だけが問題なら米国に追随して金利を上げさえすれば解決するはずだ。実は、その先が問題。つまり日銀が金利を上げようにも上げられない財務状態に陥っているのだ。すべての原因は、国債の爆買いだった。
日銀巨額の評価損、わずか半期で5兆円吹っ飛ぶ
―新年はどんな年に?
波乱、それも大波乱の幕開けになるだろう。主役は日本銀行だ。11月28日公表の22年度上半期決算で保有する国債(545兆円)が巨額の評価損を出した。評価損とは、入手時に帳簿に記載した価格(簿価)が現在の価格(時価)より低い場合に出る。8749億円だった。金利上昇の影響を受けたものだ。21年度決算では逆に6兆1223億円の評価益が出ていた。わずか半期で5兆2474億円が吹き飛んだことになる。それも0.035%という小幅な金利上昇でのことだった。ロイター通信に金利上昇した場合の評価損を質問された日銀・雨宮正佳副総裁は、『1%なら28.6兆円、2%なら52.7兆円、5%なら108.1兆円になる』(12月2日付けロイター)と答えている。日銀の債務超過は決して絵空事ではない。
―日銀の倒産という事態は起こりえますか。
日銀は通貨発行の中央銀行なので、債務超過に陥ったからといって、民間金融機関のように倒産してしまうことはないと信じたいが、円の評価は確実に下がることになる。22年のドル円相場は、前年比で2割も下落した。これだけ激しい相場の動きは、プラザ合意(1985年)の時に3割も円が急騰して以来の出来事だ。アベノミクスでの国債大量購入が原因だということになると、円安は相当根深いとみるべきだ。どこまで下落するかは神のみぞ知る話だが、23年は170円は覚悟しておいた方がよい。ミスター円と呼ばれた元財務官の榊原英資さんも、そのレンジでの円安を予想していたよ。
―日米金利差が原因ですね。
そう答える方が多いけど正解は別のところにある。金利差だけが問題なら米国に追随して金利を上げさえすれば解決するはずだ。実は、その先が問題。つまり日銀が金利を上げようにも上げられない財務状態に陥っているのだ。すべての原因は、国債の爆買いだった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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