ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

コメ記者熊野のコメ市場情報

止まらない検査米の高騰 店頭には中米原料の精米並ぶ

11月下旬、大手量販店グループの食品スーパーに格安の精米がレジ前に山積みされていた。価格は税別5kg1080円。「国産ブレンド米」と大書きされた精米は、透明なポリ袋から入っている精米が見え、シラタや小粒のコメが多く混入されていることがよくわかる。コメ業界で言われるところの“中米”を原料米として製品精米に仕上げられたものである。
こうした中米を原料として使った精米製品がスーパー店頭に堂々と売られている背景には、検査を受け1等に格付けされた産地銘柄米が入手しづらくなり、価格が高騰していることが一因。そうした現象を招いているのが、主食用米を減らして餌米を増産するという国の政策である。言い換えれば人間がくず米を食べ、家畜にちゃんとした新米を食べさせるという政策である。
その餌米に投入する税金が1000億円を超えた。消費者は税金を支払って高いコメを買わされるという二重の負担を背負わされている。こうした政策でコメ産業が発展するというのならまだしも、コメの市場はシュリンクする一方で、生産基盤が弱体化しつつあり、まさにコメ業界は危機的な状況にある。

「豚のコメ消費量は人間の5倍、飼料用生産拡大を」

11月18日、東京都中央区の食糧会館で「コメ政策と飼料用米に関する意見交換会」と題する催しが開かれた。主催したのは、飼料用米政策を推進する一般社団法人日本飼料用米振興協会で、政策提言として「飼料用米の生産目標を70万tから280万tに大幅に引き上げ、飼料用米は食用米の作付け転換の単なる受け皿ではないことを明確にし、食料自給率向上の柱として位置付ける」ことを掲げている。
会合では飼料用米を使用して家畜を飼育している畜産会社3社が自社の取り組みを紹介した。その中の1社、平田牧場が面白いデータを示した。平田牧場は早くから飼料用米を活用する畜産会社として知られているが、21年産米の飼料用米使用量は1万4306tにもなっている。コメの使用量だけからいうと大手外食企業並みの使用量である。
その平田牧場が作成した資料に「国民一人当たりのコメ消費量は年間50.7kg。平田牧場の豚の消費量は年換算すると約252kg。人のおよそ5倍」と記されていた。

関連記事

powered by weblio