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【みんなの声でつくるにっぽん農政持論】
農業政策の評価指標はこれでよい?
- 農業観・農地観収集家 小川真如
- 第1回 2023年01月31日
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いま必要なことは、「現場重視」という言葉に流されて忘れられかけている〈会議室という現場〉への関心を深めたり、会議室により多く届けたりすることではないだろうか。そこで、農政・農業をめぐるトピックについて、会議室に招かれていない人々や、会議室で十分に発言できない人々の声や想いを集めて、社会に提供していく連載企画をスタートする。
「政策評価」という専門用語をご存じない読者も多いだろう。これは、法律に基づいて各行政機関が政策効果を自ら測定・分析することを指す。政策のPDCAサイクルの一環として効率的で質の高い行政を推進し、国民への説明責任を果たすのがその目的である。
政策評価体系は複雑で多岐にわたる。評価指標は改定が重ねられ、新設されたり目標を達成すると外されたりする。農水省の政策評価体系では、農業・ 林業・水産業に関する基本計画をもとに7つの中目標を掲げ、それに紐づく25の政策分野に区分する。政策の特性に応じて、20の政策分野で「実績評価」を、5つの政策分野で「総合評価」を実施する(図1)。実績評価は、あらかじめ設定した目標について実績を毎年把握し、食料・農業・農村基本計画の策定年の前後を基本に達成度合いを評価する。
農水省による目標達成度合いの自己評価は概ね高い。しかし、評価指標は農水省が自ら設定していることに注意が必要だ。評価指標が適切であれば、農業政策の改善に貢献する。だが、評価指標に問題があれば、適切に政策の良し悪しを評価できなかったり、自画自賛の評価になったりしかねない。
今回のアンケート調査では、「農業の持続的な発展」に紐づけられた政策分野のなかで、実績評価が行なわれる5つの分野を取り上げた。
テーマの解題
「政策評価」という専門用語をご存じない読者も多いだろう。これは、法律に基づいて各行政機関が政策効果を自ら測定・分析することを指す。政策のPDCAサイクルの一環として効率的で質の高い行政を推進し、国民への説明責任を果たすのがその目的である。
政策評価体系は複雑で多岐にわたる。評価指標は改定が重ねられ、新設されたり目標を達成すると外されたりする。農水省の政策評価体系では、農業・ 林業・水産業に関する基本計画をもとに7つの中目標を掲げ、それに紐づく25の政策分野に区分する。政策の特性に応じて、20の政策分野で「実績評価」を、5つの政策分野で「総合評価」を実施する(図1)。実績評価は、あらかじめ設定した目標について実績を毎年把握し、食料・農業・農村基本計画の策定年の前後を基本に達成度合いを評価する。
農水省による目標達成度合いの自己評価は概ね高い。しかし、評価指標は農水省が自ら設定していることに注意が必要だ。評価指標が適切であれば、農業政策の改善に貢献する。だが、評価指標に問題があれば、適切に政策の良し悪しを評価できなかったり、自画自賛の評価になったりしかねない。
今回のアンケート調査では、「農業の持続的な発展」に紐づけられた政策分野のなかで、実績評価が行なわれる5つの分野を取り上げた。
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小川真如 オガワマサユキ
農業観・農地観収集家
1986年島根県生まれ。2009年に東京農工大学農学部を卒業、12年に同大学院農学府修士課程を修了。新聞記者を経て、早稲田大学大学院人間科学研究科にて学び、現在、農政調査委員会専門調査員、東京農工大学非常勤講師、恵泉女学園大学非常勤講師など。専門社会調査士、修士(農学)、博士(人間科学)。著書に『水田フル活用の統計データブック』『水稲の飼料利用の展開構造』がある。
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