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コメ記者熊野のコメ市場情報

流通経済研究所の現物市場が与えるデジタルインパクト

コメの現物市場の運営者として名乗りをあげた公益財団法人流通経済研究所が3月にも売買決済できるシステムを構築する。
同研究所は2017年から農畜産物の生産者とバイヤーを結ぶオンライン上のマッチング市場「アグリーチ」を運用しているが、これはあくまでも紹介業務にとどまっており、システム内で売り買いができなかった。売買決済システムの導入によって文字通り「現物市場」としての役割を果たせるようになる。
実際の運用は今年秋からになるが、いよいよコメ業界に公の現物市場が誕生することになる。この市場は、小口・大口二つの取引があり、オンライン上の「データ取引」が基本になる。現在、コメ業界で仲介業者が行なっているのは電話やファックスでの取引で、いわばアナログスタイル。これに対してデータで取引するということはデジタルスタイルになるわけで、根本的にそのやり方が異なる。
デジタルでコメの取引を行なう現物市場が誕生することによってコメ業界に大きな変化を引き起こす可能性がある。

必要な「ビッグバン」シュリンク市場を打破

流通経済研究所が運営する現物市場がコメ業界にどのような影響を与えるかに触れる前に、シュリンクする市場が抜き差しならない状況になりつつあるので、このことにまず言及したい。
農水省が試算した2040年までの需給見通しによると、主食用米の需要量はどんどん減り続け493万tまで落ち込むと予想、主食用米を作付けしない面積は100万haを超えるとみている。その分を主食用米以外の用途に振り向けるとその面積は107万haになり、主食用米の作付面積96万haより多くなる(表参照)。主食用と非主食用米の面積が逆転するという衝撃的な見通しで、主食用米を生産する生産者ばかりか流通業者、実需者にとって危機的な状況になることを示している。
こうした危機的な状況を回避するためにはコメ業界に「ビッグバン」を起こす以外にない。その際のキーワードは“市場”である。市場をシステマティックに捉えなおすことにより、コメを産業として復活させることが可能になる。長らく統制経済下に置かれたコメ業界は食管法がなくなったにもかかわらず、健全な市場が育たないうちに先物市場が閉鎖され、混沌とした状況に置かれている。

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