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特集

立ち上がれ、若きイノベーターたちよ

農業が他産業の犠牲になっているなんて言う人もいまだにいるが、間違いなく日本の農業界は産業界の発展の恩恵の下に成長してきた。現在も含め、それぞれの時代の中で時代を画する新たな取り組みで農業経営の可能性を広げてきた人々がいる。農業界のイノベーターたちだ。
僕が知る1970年代以降、80年代に今と比べれば政策的支援などとは無縁の形でも現在につながる農業経営の可能性を広げた人物たちがいた。それらの人々を思い返してみると、現代の先端的農業経営者はもっとダイナミックな発展を目指すべきではないかと感じる。とりわけ水田経営に限って言えば、あまりに政策的支援に頼りすぎているのではないかと感じるのだ。かねて主張している通り、現在の交付金レベル、日本農業への保護レベルがいつまでも続くとは思えない。叶芳和氏の言う通り、日本経済は衰退の道をたどっているようにすら思える。若き農業経営者よ、君たちは今のままでよいのだろうか。 (昆吉則)

本物の農業経営者と胸を張って言えますか

元・農林水産事務次官 NPO法人日本プロ農業総合支援機構理事長 高木 勇樹

とんとご無沙汰していた昆吉則編集長から原稿執筆依頼のメールがありました。その内容は、「今の農業経営者の姿は生活保護をもらってベンツに乗っているやくざと同じだ。何故今の農業経営者がこうなってしまったのか」……、言外に農林水産事務次官だったあなたにも責任の一端はあるぞという気合のこもったものでした。後期高齢者(小生現在80歳)以降は原稿執筆を断っているとはとても言えそうもないうえ、随分とお世話にもなったということで、恩返しのつもりで何を書いたらいいかも考えずに引き受けてしまったのが以下の原稿です。

【私を捨てて行動した男】

昆編集長の思いは「もっと本物の経営者たれ」の一語に尽きます。小生自身も、民の知恵、民の力で農業経営者の課題を解決することを設立目的とするNPO法人日本プロ農業総合支援機構に2007(平成19)年2月以来、携わってきましたので、農業、農村の現状はそれなりに見てきました。
確かに、事務次官時代の1999(平成11)年5月28日に公益法人日本農業法人協会を立ち上げたとき、一緒に行動した坂本多旦氏(日本農業法人協会初代会長、以下S氏)のような感性豊かで、日本農業、農村の未来を見据えた構想を持ち、それを自らの経営でも実践し、その構想を全国に広げようと、「私」を捨てて行動した「人物・人材」は、残念ながら、現在の農業界には見当たりません。ただ、21世紀に入ると自らの経営をしっかり築き上げている農業経営者が相当数輩出されてきていることも、農業法人白書などを読めば明らかです。

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