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特集

立ち上がれ、若きイノベーターたちよ


図1は世界の中で今の日本の位置を象徴的に示すものだ。日本勢はトヨタもホンダも、ランキング下位にある。自動車は100年に一度の大変革が起きていると言われるが、このEV革命への対応が図1である。
あと10年もすれば、世界の多くの国で、ガソリンを使うエンジン車は販売できなくなる(法律)。世界のメーカーは争ってEV化を進めているが、日本勢の動きはまだ弱い。EVのパイオニアは米・テスラ社(イーロン・マスクCEO)であるが、その最大の工場は中国・上海にある。
日本勢は脱炭素・電動化対策としてハイブリッド車で対応しており、その面では圧倒的優位に立ってきたのであるが(ハイブリッド車はガソリンを使う内燃機関)、そのハイブリッド車の成功体験が革新を遅らせているのではないか。サンクコスト(埋没費用)効果につかまり、イノベーション・ジレンマが起きている可能性がある。トヨタをはじめ、日本勢は技術力はあるので、挽回の可能性はある。しかし、失敗すれば、日本経済に激震が走ろう。日本経済は沈む。

◇先端技術の対中輸出規制

日本経済はもう一つ、大きな問題に直面している。経済安全保障対策としての先端産業の技術輸出規制が、世界と日本の経済に大きな問題をもたらしそうだ。戦後世界の成長を支えた自由貿易システムという要因がなくなるからだ。
1月27日、米国・日本・オランダは先端半導体の対中輸出規制強化で合意した(米・ブルームバーグ報道)。半導体製造装置など技術情報が中国に漏洩するのを防止し、米国をはじめ、西側先進国が持つ科学技術上の優位性を維持、中国が追いつけない状況を作ろうというものだ。
先端技術の輸出が抑制されれば、日本の先端産業の成長は妨げられ、日本経済へのダメージは大きい。発展途上国がキャッチアップしてくるので、日本は(成熟技術は途上国に譲り)産業構造を高度化していかねばならないが、それが妨げられる。日本最大の輸出産業であり基幹産業である自動車産業がEV化に乗り遅れる危機的状況にあるが、これに加え、先端ハイテク産業まで成長抑制されれば、日本経済は間違いなく沈む。前門の虎後門の狼という状況である。
先端技術の対中輸出規制強化は、中国を分離して発展を抑えようという戦略であるが、返り血を浴び、自らも経済をダメにしかねない訳だ。
米中覇権争いは自由貿易の否定となり、日本経済にとって大きなマイナス要因だ。軍事費の増大(防衛費のGDP比2%への引き上げ)だけではなく、経済成長の抑制も重なり、国民生活に大きくのしかかってくる。万が一、軍拡競争になれば、戦争が起きる前に、日本は経済的要因から死屍累々になりかねない。「失われた10年」が30年続いたが、さらに長引く事態のリスクを考えておかねばならない。

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