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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
カザフスタン 綿花の代替としてのヘンプの挑戦
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第63回 2023年03月02日
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資源豊富な同国では、農業の経済的貢献は1割に満たない。国土の7割以上が農耕地だが、永久牧草地が多く、作物生産としては北部では穀物生産が、南部では灌漑農業が盛んで、小麦や綿花が輸出品目になっている。
ヘンプの原産地はカザフスタンのある中央アジアだと言われている。現在も、カザフスタン南部とキルギス北部にまたがるチュイ渓谷には、世界最大の大麻草の群生地がある。この渓谷は日本の関東地方とほぼ同じ広さで、その8分の1に相当する約40万haに大麻草が自生しているのだ(2006年の国連世界薬物報告書による推定値)。
ヘンプの学名「Cannabis sativaL.」の“Cannabis”は、スキタイ語をギリシャ語に訳した「管(くだ)」に由来する。スキタイ人とは、紀元前7~紀元1世紀頃に黒海北岸の南ロシア草原を中心としたユーラシア内陸で活動した遊牧騎馬民族のことだ。古代ギリシャの歴史家であるヘロドトスによれば、そのスキタイ人が衣服を作るための繊維植物として、あるいは儀式で大麻草を使用していたという。また、考古学的には、モンゴルの西アルタイ地域(現在のカザフスタンのすぐ北)にある紀元前300年頃のスキタイ人の墓所からは、焦げた大麻草の種子が多数発見されている。
その後、スキタイ人の子孫である中世カザフ人や同地域に根づいた各部族は、ヘンプ繊維で織物やロープを作った。記録や証拠は残されていないものの、古代シルクロードのルート上にあることから、同国にも大麻草を薬用または嗜好用で商取引してきた長い歴史があったと考えられている。
チュイ渓谷は世界最大の野生大麻の群生地
ヘンプの原産地はカザフスタンのある中央アジアだと言われている。現在も、カザフスタン南部とキルギス北部にまたがるチュイ渓谷には、世界最大の大麻草の群生地がある。この渓谷は日本の関東地方とほぼ同じ広さで、その8分の1に相当する約40万haに大麻草が自生しているのだ(2006年の国連世界薬物報告書による推定値)。
ヘンプの学名「Cannabis sativaL.」の“Cannabis”は、スキタイ語をギリシャ語に訳した「管(くだ)」に由来する。スキタイ人とは、紀元前7~紀元1世紀頃に黒海北岸の南ロシア草原を中心としたユーラシア内陸で活動した遊牧騎馬民族のことだ。古代ギリシャの歴史家であるヘロドトスによれば、そのスキタイ人が衣服を作るための繊維植物として、あるいは儀式で大麻草を使用していたという。また、考古学的には、モンゴルの西アルタイ地域(現在のカザフスタンのすぐ北)にある紀元前300年頃のスキタイ人の墓所からは、焦げた大麻草の種子が多数発見されている。
その後、スキタイ人の子孫である中世カザフ人や同地域に根づいた各部族は、ヘンプ繊維で織物やロープを作った。記録や証拠は残されていないものの、古代シルクロードのルート上にあることから、同国にも大麻草を薬用または嗜好用で商取引してきた長い歴史があったと考えられている。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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