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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

米国(6) コロラド州のヘンプ産業から日本は何を学ぶのか?

嗜好用と産業用を同時に住民投票で可決 米国中西部に位置するコロラド州は、南北に有名なロッキー山脈が貫き、全米で最も平均標高が高い山岳地帯にある。人口は約580万人、面積は日本の本州に匹敵する。産業は豊富な天然資源を背景とした鉱業のほか、航空宇宙産業、情報産業から観光業まで多岐にわたるが、農業分野では、全米第4位の牛の飼育州で、小麦、乳製品、トウモロコシ、干し草の生産が盛んだ。
同州では、医療用大麻を2000年に合法化した(全米で6番目)。その後、嗜好用大麻をお酒やタバコと同様に課税管理する法律(州法修正第64条)は、12年秋の大統領選挙と同時に行なわれた住民投票で、賛成55%・反対44%で可決。同法は14年に施行され、全米で最初の嗜好用大麻の合法化を実現した。
日本で話題になったのは嗜好用大麻だけだったが、2014年農業法の制定に合わせて、実は同じタイミングで産業用ヘンプの栽培、加工、販売を管理する法律も可決。州法の制定後、全米でいち早くヘンプの栽培および研究がスタートした。州農務省はヘンプ専門のウェブサイトを立ち上げ、栽培者や加工者のための支援情報を熱心に発信している(図1)。

産官学の利害関係者の声に基づく推進・管理計画

ヘンプは全米でマリファナの主成分であるTHC濃度が0.3%以下のものと定義されている。2014年農業法の施行後、試験栽培プロジェクトが各州で進み、2018年農業法によって商業栽培が合法化された(本誌20年2月号参照)。
コロラド州では、19年に当選したジャブレッド・ポリス州知事が、同州が全米のヘンプ産業の牽引役であり続けることを優先すると表明した。その宣言書にヘンプ紙を用いるというこだわりようだった。州知事の宣言を受けて、同州農務省はコロラド州ヘンプ推進・管理計画(CHAMP)をつくるために審議を開始し、行政、大学、農家、企業、銀行など幅広い利害関係者202名が参加した(表1)。

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