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土門「辛」聞

産地間競争をリードする半島農業 その強さをもたらしたテロワール

房総、渥美、大隅。これら三つの半島が、露地野菜、それもダイコンやキャベツなど重量野菜で国内屈指の産地である。なぜ半島で産地が育ったか。NHK「ブラタモリ」のごとく、まずは地質、次いで気象、そして地理的条件にも答えがある。それを「テロワール」と呼んでいる。農業にも通用する概念で、テロワールに沿った農業を昔から適地適作と呼んでいた。その切り口で半島農業の強さを証明してみよう。
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房総半島 銚子に遊休畑ほとんどなし

まずは首都圏の房総半島。半島の付け根は、西が江戸川の河口あたり、東は太平洋に突き出た犬吠埼。千葉県のほぼ全域だ。半島の面積としては全国3位の5034平方kmになる。トップは紀伊半島、2位は北海道の渡島半島だ。広域に及ぶため、作物も多種多様。房総半島で見所は、利根川の河口にある銚子市近辺のダイコンとキャベツだろう。全農ちばの産地紹介には、次のような記述がある。
「銚子は千葉県最東端にあり、その南東部分は太平洋に面し、北は利根川沿線の低地、西は表層を関東ローム層で覆われた北総台地に連なって立地しています。海洋性の温暖な気候に恵まれ、明治の初期から大根が生産されていましたが、昭和30年代中ごろから、農協が中心となり、商業ベースとしての市場出荷体制を築き上げました」
ポイントは、海洋性の温暖な気候に恵まれた銚子市。半島は、海に突き出た地形だ。海流の影響を受けやすい。銚子沖には、親潮(千島海流)が北から、黒潮(日本海流)が南から流れ込む。季節によって海水温変化があるので、内陸に比べて夏は涼しく、冬は暖かいという気候特性がある。銚子気象台の観測では、年間の平均気温は15.7℃、厳寒期でも最低気温は2.4℃を超える。市内でも、沿岸部と内陸部では冬季の温度差が大きい。
沿岸部の東部地区では、冬季温暖な気候を活用した春キャベツの栽培が盛ん。一方、内陸部の西部地区ではダイコンが中心となる。一大産地として確立したのは、1966年に秋冬ダイコンが農水省の産地指定を受け、集出荷の支援態勢がとられて以降のことだ。

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