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新・農業経営者ルポ

個人向けだから選んだ農薬を使わない野菜づくり

独立独歩。中川貴文の農業経営にはそんな言葉がよく似合う。化学メーカーを経て、栽培期間中農薬不使用の農業を目指し、その第1歩として外資系企業の農薬部門で営業職に就いた。その後、2015年に地元にUターンして就農するが、実家が農家だったわけではない。頼りは自身が営業で培った病害虫や雑草の知識と2冊の本、そして地域の人たちのアドバイスだけという手探りの始動だった。試行錯誤しながら栽培期間中農薬不使用で年間50種類以上の野菜を露地栽培し、現在は約2haで経営する。決してアンチ農薬ではない。大事なのはおいしくできるかどうか、それに尽きる。 文・写真/筑波君枝、写真提供/パッチファーム
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秋作ジャガイモを2月上旬に収穫

愛知県田原市のパッチファームを訪ねた2月上旬、中川貴文と妻の倫子は“掘ったばかりの”ジャガイモの仕分け作業に追われていた。通常、この時期に収穫しているのは南の鹿児島くらいだ。中川のところのものは昨年の9月上旬に播種した20a分の秋作になる。野菜セットに加えるほか、単品でも通信販売を行う。
「いろいろなジャガイモを食べ比べて一番おいしかったのがグラウンド ペチカです。育てやすく、病気にも強い。貯蔵性も良く、見た目も珍しいので、個人向け販売をするウチのような経営に適しています。スーパーに出したこともありますが、見慣れない色と形で反応はいまいちでした。ただ、それはおいしさを知らないからです。子どもの友だちにあげたりすると、このジャガイモは本当においしいと喜ばれますし、野菜セットに入れると、その後も単品で注文してくれる人が多いんですよ」
実際、同社のホームページで2月中旬にはグラウンド ペチカを単品で販売していたが、数日後にアクセスすると完売と表示されていた。楽しみに待っている人が多いことがうかがえる。
パッチファームは年間50種類以上の露地野菜を、栽培期間中農薬不使用で生産する。主力品目は、栽培にそれほど手のかからないジャガイモやカボチャだ。今年2023年から新たに40?aを借りて1.9?haと面積を広げたが、そこも春夏はジャガイモやカボチャ、秋冬は葉ニンニクなど、単品で勝負できる作物を植える予定にしている。
ジャガイモはほかの品種も含め、肥料を使わずに作る。そのうえでグラウンド ペチカの場合は、葉が自然に枯れるまで育て、十分に熟してから収穫するため、味が乗る。ほかの品種だと育ち過ぎてしまうことがあるが、グラウンド ペチカはちょうど良いサイズにそろうという。春作は30?aでの作付けながら、連作を避けるとともに、イネ科緑肥を挟むことで、土壌病害のそうか病対策を施している。
余談だが、グラウンド ペチカを育種した俵正彦(故人)は本稿にも登場したことがある。それを伝えるとこんな返事が戻ってきた。

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