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新・農業経営者ルポ

食味には自信もブランド化が道半ばの奮闘中なめこ農家

福島県いわき市の南端、勿来地区に隣接する山玉町で、50年にわたり、なめこ栽培を続けている(有)加茂農産。丹精込めて作られるなめこは「大粒で足が太く、香りと味に深みがある」と、消費者から高い評価を得ている。今回の主人公は、その加茂農産の2代目・加茂直雅である。幼少期から家業の手伝いをし、早い段階から2代目になることを決めていたという男のなめこ農家としての道のりは、決して平坦なものではなかった。東日本大震災、コロナ禍、光熱費の異常な高騰……。その中で、何を思い、どんな行動を取っていったのか、その生きざまを追った。 文・写真/永峰英太郎
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大手不在のなめこ業界

独特のぬめり感やカタチの可愛さで親しまれているなめこ。きのこ類の中では、えのきたけ、ぶなしめじ、しいたけ、まいたけ、エリンギに次ぐ生産量となる。えのきたけの生産量(令和3年)は約13万t、しめじは約12万tとなっている。一方、なめこは2万4000t程度だ。
なめこの生産量がほかのきのこ類と比べて少ないのは、消費者のニーズという側面もあるだろう。しかし、それだけではなく、「なめこの菌の性能を維持するのが難しい」という背景もある。
「6、7年前、あるメーカーの種菌の一部から、なめこが発芽しないということが起こったんです。私のところは大丈夫だったんですが、多くのなめこ農家が被害にあった。それで一時期、市場からなめこの供給が減ってしまったんです」
こう話すのは、加茂農産2代目の加茂直雅だ。なめこの菌が、いかにデリケートであるかを物語るエピソードといえよう。そうした事情もあり、きのこの大手メーカーは、基本的になめこには手を出さないという。それゆえ、なめこ全体の生産量が少なくなっている事実もあるのだ。
「なめこの種菌を販売するメーカーは、以前は複数あったんですが、菌の扱いが難しく撤退するところが多く、今は基本的には1社のみなんです。日本のなめこ農家は、ほぼ90%以上、みんな同じ種を使っているんですよ。その中で、ほかの農家さんとの差別化を図るにはどうしたらいいのか。そのことをいつも考えて、なめこ栽培に取り組んでいます」

食味に自信

加茂農産の元々の出発点は、加茂の父親が始めた養鶏場である。しかしオイルショックにより、餌代が高騰したため、ブロイラーの小屋を使って、何か代わりの事業ができないか模索していった。
そこでたどり着いたのが、菌床栽培によるなめこ作りであった。
なめこ栽培には「原木栽培」と「菌床栽培」がある。前者は、種菌を原木に植え付ける栽培方法で、後者は、オガ粉などを固めた栽培ブロック(菌床)で栽培する方法である。

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