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特集

政府・自治体広報の危うさをファクトチェック


日本は検証しない国と言われるが、BSE問題と同様に新型コロナ問題が検証されることなく忘れ去られることは避けなくてはならない。

■3 有機野菜とネガティブキャンペーン

農林水産省は2021年に「みどりの食料システム戦略」を策定した。主な内容は2050年までに農林水産業のCO2排出ゼロの実現、耕地面積に占める有機農業面積を25%に拡大、化学農薬の50%低減、化学肥料の30%低減などである。農業の生産力向上と持続性の両立をめざす野心的な方針だが、現在は0.5%しかない有機農業面積を30年で50倍に増やすことは簡単ではないだろう。
有機農産物を増やすために必要な条件は販売増加であり、そのためには在来農産物より有機農産物の方が優れている点をアピールする必要がある。比較のポイントを、(1)見かけ、味、栄養価などの品質、(2)安全性、(3)価格、(4)農業労働、(5)環境影響、(6)消費者が持つイメージの6点に設定すると、各種のデータから判断して有機農産物の方が優れているのは環境影響とイメージだけであり、劣っているのは価格と農業労働、そして品質と安全性には違いがない。要するに環境にはいいけれど価格が高いのが有機農産物であり、これではよほど環境問題に対する意識が高い人しか買わないだろう。
イメージがいい原因は「健康」を強調した有機関連企業の宣伝だ。農薬や化学肥料を使う在来農産物は安全ではなく、健康に悪いというネガティブイメージは消費者の自然志向にアピールして広がった。
その結果、有機農産物を購入する理由の6割が「健康によい」、3~4割が「環境によい」「品質がよい」「安全」という調査結果がある(https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=24706)。
耕地面積で0.5%しかない有機農産物が99.5%という圧倒的多数の在来農産物と対抗するためにこんな欺瞞をしたくなる心情は理解しても、消費者を誤解させる戦略に同意することはできない。
これは民間企業の行為と思っていたところ、驚いたことに農水省が同じ手法を使っていた。YouTubeにアップされた農水省農業環境対策課の女性と女優の対談だ(https://www.youtube.com/watch?v=FzEIk57VH9c)。女優が有機野菜は「美容、健康、環境にいい」と話し、画面の下に小さく「*個人の見解です。」と書いてある。

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