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小川まさゆきの現代の農業観・農地観

(株)関東地区昔がえりの会 代表取締役社長 小暮郁夫 積極的な事業転換で、地域農業の発展に貢献したい

今を生きる 一人ひとりの「農業の捉え方」を聞く! 農業の最大の魅力は、定義が決まっていないことだ。 価値観の多様化が進む現在は、この魅力がいかんなく発揮され、多様な農業観・農地観が生まれ育まれる時代にある。いまや、農業観・農地観は、農業を営む上での一つの原動力となっているのではないだろうか。 本連載では、農業経営者の心のうちにある「農業の捉え方」に注目しながら、数字では語れない、農業経営の特徴に迫る。
(株)関東地区昔がえりの会 代表取締役社長
小暮 郁夫さん(69)

1953年生まれ。農業高校を卒業後、実家に就農。1997 年に埼玉県が始めた県民運動「彩の国有機100 倍運動」に呼応して、化学肥料に頼らない栽培の研究会として「関東地区昔がえりの会」を組織。現在、生産者は認定農業者を中心に会員農家26戸で構成。2002年に株式会社化した(株)関東地区昔がえりの会の代表取締役社長として精力的に事業展開に邁進している

埼玉県北部の上里町に「関東地区昔がえりの会」が設立されたのは1999年だ。畜産公害の問題解決に向けて循環型社会の仕組みづくりに取り組んだ人物との出会いをきっかけに誕生した。その始まりは、ブロイラー完熟堆肥を使って良質な農産物を生産する生産者グループだった。
それから20余年、大消費地・首都圏へのアクセスが良く、しかも農業地帯という立地条件を生かしながら、積極的な事業転換を進めてきた。カット野菜工場の誘致をはじめ、大手企業との取引を拡大し、新規就農希望者や障がい者雇用、外国人技能実習生の受け入れなど人材育成に力を入れてきた。その旗振り役をしてきたのが、小暮郁夫さんだ。
疲弊していく地域農業や市場環境の変化に向き合い、柔軟かつスピーディーな発展を推し進めてきた背景にある農業観・農地観について、話を伺った。

◆起点は有機栽培の研究会

―現在の組織の概要を教えてください。
「関東地区昔がえりの会」には、同じ名前で2つの組織があります。生産・出荷者の集まりである任意組織の「関東地区昔がえりの会」と、経営面を担う「(株)関東地区昔がえりの会」です。
任意組織のほうは、年会費1万円で運営し、栽培や出荷の基準をまとめています。現在の会員数は約26経営体で、主要な生産者は7戸・法人です。
株式会社では、35haの農地を借入れているほか、作業受託や農機具のシェアリングなどを含めて約50haの耕作に関与しています。作業受託はおもに収穫や調製作業、育苗で、タマネギ、ハクサイ、キャベツ、青ネギなど40ha分です。社員は11人、そのほかパートなど20人(うち外国人14人)が働いています。育苗などは「関東地区昔がえりの会」の会員から株式会社に作業委託している形になります。
―「関東地区昔がえりの会」の歴史を教えてください。
1997年に農家30人で設立した「ひびきの郷湧気100倍研究会」からスタートしました。その頃は、無登録農薬をはじめ、農業関係の基準が厳しくなり、有機栽培や特別栽培の基準ができた時期です。埼玉県が県民運動「彩の国有機100倍運動」を始めたこともあって、生産者として、栽培方法を研究したり出荷基準を作ったりすることが会の発足時の目的でした。

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