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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

セルビア 歴史あるヘンプ産地はEU非加盟国のハンディを乗り越えられるか

欧州のバルカン半島中西部の内陸に位置するセルビア共和国(図1)。日本の北海道とほぼ同じ国土面積に、人口約693万人を有する。スラブ系民族のセルビア人が8割を占め、公用語はセルビア語だ。旧ソ連時代のユーゴスラビア構成国の一つで、2006年に独立したが、コソボ地域の独立問題を抱えており、EUの加盟交渉は継続中で、加盟に至っていない。
北海道内陸部とよく似た気候で寒暖の差が大きく、北部のドナウ川、サバ川流域には広大な平原が広がっている。麦類、トウモロコシ、ビートなどの作物のほか、酪農も盛んである。日本の武道やアニメのファンも多く、親日国としても知られている。

ヘンプの首都・オジャツィ

セルビアでは、ヘンプは伝統的な農作物の一つである。12世紀のネマニッチ王朝時代に修道士が描いたフレスコ絵画やメモによってヘンプ栽培の証拠が多数残されている。
セルビアは15世紀から400年近くにわたってオスマン帝国の支配下にあり、16世紀にかけてトルコ人によってヘンプ栽培が課税対象にもなった。17世紀後半の大トルコ戦争を経て、北部のヴォイヴォディナ州はハプスブルク帝国に征服され、多くのセルビア人はハンガリーに逃れた。
同帝国のハプスブルク帝国の女帝マリア・テレジアが1765年に高品質のヘンプのみを播種するように勧告したことを受けて、帝国会議は同州にドイツからヘンプの栽培と加工技術を有する入植者を呼び寄せた。なかでもオジャツィ(Odz’aci)地区は、栄養豊富な肥沃な土壌と、ドナウ川の支流であるモストノガ川のおかげで良質なヘンプ産地となった(図2)。

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