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今年の市場相場を読む

過去15年間で産出額が2割増以上の野菜類 タマネギ/エダマメ/ニラ/レタス類

06年と21年を対比するのは興味深い。バブル経済崩壊後、一本調子に減ってきた野菜の生産面積の下げ止まりと思われたのが05年前後、21年はコロナ禍の深刻な影響がでなかった最後の年だからだ。この10数年で栽培面積が2割以上増えた主要野菜はブロッコリーと小松菜のみ。他の野菜品目はほぼ全部が減少した。今回は金額(数量×単価)にスポットをあて、約2割以上増えた4品目を選んで検証する。
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タマネギ/44%増―生鮮品新タマが金額=付加価値上げる

【概況】東京市場におけるタマネギを06年と、相場高騰した22年の前年である21年で比較すると、入荷数量は93%に減ったが単価は24%高くなり、金額(数量×単価)は15%増えた。「農畜産物産出額増加率ランキング」でみると44%増えたのに、東京市場における金額増加率は3分の1しかない。ちなみに、輸入タマネギは06年で29万t、キロ単価は44円。21年は23万tで単価は60円。金額での対比は8%増にとどまる。単純な比較では東京市場の半分だ。
【背景】タマネギの産出額が増えた理由は、普通には単純に単価が高くなったということだ。面積も増えているはずで、稲作からの転換を含めて、各地で地場需要に対応する生産が導入されている。単価高といえば、22年に起きた〝タマネギ・クライム〟。業務用に対応する中国産(剥きタマ)がコロナ禍で輸入がストップして起きた。もうひとつの単価高は、いわゆる新タマ、サラダタマネギが増勢なことと関係がある。土物に分類される乾燥タマネギではなく、生鮮品として流通する。
【今後の推移】 生鮮タマネギは貯蔵性がないため業務用には向かないが、小売りでは「サラダ野菜」として季節野菜的な扱いだから、生鮮品価格で取引され単価が高い。これが産出額や市場流通金額を押し上げている。増加率44%という数字は、生産面積を推測してハジキ出した「生産量」に平均単価をかけて算出される理論値であるが、統計が明確な市場流通金額は一番信憑性がある。なお輸入品の金額は8%増。いわば「中国産の剥きタマ」が生み出した付加価値分である。

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