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江刺の稲

土を作れば作物勝手に育つ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第325回 2023年07月27日

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第94回目の『農業経営者』セミナーを6月29日の午後7時より開催した。講師は、本誌で「地域活性化という『遊び』」を連載している山本晋也さん。京都府福知山市の限界集落である稲葉地区での隣人の高齢者や山の獣たちを含む風土の中での子育てを語っていただいた。
清水三雄氏が福知山市三和地区の山林を自ら重機で切り開き、自然の中で遊ぶ場所を作ったところを、「みわ・ダッシュ村」と名乗って開園した。清水氏に代わってダッシュ村を運営する副村長として家族ぐるみでダッシュ村近くの稲葉集落に住み着いた山本家。当時6戸の高齢者世帯だけの集落の廃屋に住みながら、家族で数年がかりで改築する。そこで生まれた一番下の長女を含め幼い子供たちは村の老人たちに可愛がられ、出没する獣や年寄りばかりの稲葉集落の風土の中で育っていく。
山本家では学校教育を否定するわけではないが、必ずしも学校への登校を強制せず、子供たちの興味の赴くままに「遊び」に集中させることで生きるすべ、老人たちとの村普請には強制的に参加させ、共同体、人とのかかわりを学んでいく。やがて、山村での遊びの中から生きる術を学ぶ。山菜、山の獣とそれを生け捕り、食肉処理と調理。それも生ける恵みを感謝の中で最高の食として調理する技も獲得していく。

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